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全日空ストライキ

2009年03月18日 | 経済学

今度は全日空のグループ企業でストライキということだが、この前のTBSのストライキとは少し構造が違うようだ。グループ企業というのがポイントで、実は本体の全日空と比べるとかなりの待遇格差が存在しているようだ。同じ仕事であっても、本体かその子会社か、はたまた正規雇用か契約社員かで待遇が大きく違う。今回のストライキはこの待遇格差に対する反対として行われたらしい。

前の記事の補足でもあるのだが、日本企業の特徴として企業内組合があり、経営者も実質的にその企業内組合の利害関係者の一人として機能していると言うのがある。だから、日本においては本体の正社員の待遇を守るために、経費を下請けに押し付けたり、グループ企業に不要な社員を出向させて経費を押し付けたりする。また、自分達の待遇が下がらないように、下請けや契約社員、グループ企業の低賃金社員といったものを利用するということに繋がる。つまり、本体の正社員が第一でありその利益のために周りのものが犠牲を強いられる構造になっている。当然、本来の企業としてはこのようなやり方は非効率で企業の利益を如何なる意味においても損なうのであるが、一部のものが絶対的な特権を持っている状態においてはこのようなことが起こってしまう。

そして、このような特権的かつ閉鎖的な企業内組合の手先として存在している経営者が自己責任を語るというのが日本の不可思議な自由競争議論である。日本以外の国では経営者の主張は常に同じで、高賃金の労働者の解雇を容易にしてほしいというので一貫している。アメリカでは、90年代の不況において不要な中間管理職を大量に解雇して合理化を進めた。これが普通である。しかし、日本においては高賃金の正社員の代表が自分達の利害を守り差別と格差を創り出すことをあたかも自由競争であるかのように議論するから意味不明なことになる。まるで、独占企業が自由競争を語って自らの優秀さを賛美するようなものだ。そもそも基本の論理が可笑し過ぎるのだ。

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