セブンイレブンが公正取引委員会から排除措置命令を受けたニュースが話題になっているが、根本的な問題は現在の日本の多くのフランチャイズ契約が諸外国の基準からすると違法であるという現実である。
当然のことながら、契約というのは対等な関係において結ばれるべきものであるし、契約にあたっては必要な情報が開示され双方が条件を理解して納得した上で契約を結ぶ必要がある。しかしながら、現在の日本の法規制においてはフランチャイズ本部に必要な情報を開示する義務を課しておらず、嘘の業績予想や、特殊なケースに基づく予想によって、勧誘することが許されている。つまり、多くの場合偽の情報によって会員は騙されているし、またそれを防ぐための行動を新たな契約者が取ることも認められていない。さらに、フランチャイズの会員になることによってどれだけの利益が出るかを知るためには、どのようなコストが掛かるかを知る必要があるが、日本の場合においてはフランチャイズ本部がノウハウだけでなく、商品なども同時に卸として供給することになっているのでその値付け次第でどのようにでも収入が変化するようになっている。つまり、白紙委任状を書いているようなものである。
日本以外の先進国においてはこのような新規会員に必要な情報を提供せず、一方的に有利な条件で契約を結ぶことは完全に違法である。通常の法律論に基づいても虚偽の情報によって顧客を騙すのは詐欺なので、日本のフランチャイズ契約は実は大規模な組織犯罪である。そのような、現実が昔から明らかであるにも関わらず、諸外国の常識や通常の法律論を無視して、産業界に迎合し契約だから契約を守るべきだという意味不明な論法で、規制を加えてこなかった政府に非常に大きな責任がある。その意味で、今回の公正取引委員会の排除措置命令は必要な政策のだ一歩であると言えるだろう。