車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

小沢一郎第一公設秘書逮捕

2009年03月03日 | 政治

産経新聞より小沢一郎民主党代表の公設第一秘書他3人が西松献金で逮捕されたニュース

 準大手ゼネコン「西松建設」(東京)が、政治団体をダミーにして政界にトンネル献金をしていたとされる疑惑で、献金が事実上の企業献金だった疑いが強まり、東京地検特捜部は3日、政治資金規正法違反容疑で、民主党の小沢一郎代表の公設第1秘書で資金管理団体「陸山会(りくざんかい)」の会計責任者、大久保隆規容疑者(47)と、西松前社長の国沢幹雄容疑者(70)=外為法違反で起訴=ら3人を逮捕、東京都港区の陸山会事務所を捜索した。小沢氏側への献金総額は2億円近くに上るとみられる。・・・

 政治資金収支報告書によると、両団体が18年までの12年間に集めた会費は総額約5億1500万円で、両団体名義で行われた与野党の国会議員側などへの献金やパーティー券購入の合計は、約4億8000万円。このうち小沢氏側へは2億円近くにのぼる。・・・

かなり前から噂になっていたこの事件、小沢一郎代表の公設第一秘書他の逮捕によって急展開を迎えた。小沢氏の政治資金の汚職の可能性については、かなり前から取りざたされていたが、不思議なほどマスコミは伝えてこなかった。それが、今回の逮捕で小沢一郎氏の不正を正面から捉えざるを得なくなるだろう。最近の中川昭一氏辞任のように、ちょっとしたことで辞任要求を繰り返してきた民主党であるが(そういえば絆創膏がなんたらってのもあったな)、政治において最も深刻とも言える不正献金で逮捕者が出たことに対して、党としてどのように対応するのかが見ものである。

押していただけると、励みになります。


スウェーデンの看護婦

2009年03月03日 | 経済一般

今回は日本における今後の雇用システムを考える上で参考になるかも知れないスウェーデンの雇用を少し見てみたい。そこでスウェーデンの今というブログで看護婦のストライキ終結という記事を見つけたのでそこから。

月21日に始まった看護婦のストライキは、5月28日水曜日に労使双方の間で合意に至り、5週間半にわたる長いストが終結した。7000人近い看護婦・看護士がこれまでストに参加してきた。

さて、これだけ長い間ストを続けてきたのだから、労組側は大きな勝利を勝ち取ったのか!?と思いきや、実はそうではない。労使双方が受け入れた妥協案の主な点を見てみると、

・看護婦の初任給(最低1年勤務後):月21100クローナ(37万円)
・今後三年間の給与のベースアップ:2008年 +4%、2009年 +3%、2010年 +2%

というものだが、スト決行直前に国の調停委員会が労使双方に提示し、労組側が受け入れを拒んだ妥協案とほとんど違いがないのだ。例えば、初任給については、額がスト直前の妥協案と全く同じ。唯一の違いは、新水準の適用時期を2009年の夏以降ではなく、5月以降に前倒しするという点。また、給与のベースアップの率についても、唯一の違いは2009年の数字が+2.5%から+3%に引き上げられただけ。

当初の妥協案を蹴った労組側の要求とは、初任給を月22000クローナにし、また今後2年間に渡って月額1700クローナのベースアップを毎年すべての職員に行う(率で言うとおそらく年6-7.7%ほど)、というものだった。長い教育を必要とする職であり、国民の命に関わる重要な仕事をしているのに、それが給与に反映されていないこと、そして、女性の多い医療職の給与を他の職よりも引き上げることで、男女間の経済格差を少しでも縮めたい、という思いがこめられていたのだった。

労組側の情報によると、現状では10分の1の看護婦の月給が20000クローナ以下だという。地域により若干の差があるが、大卒直後の正看護婦の初任給は月18500クローナという県もあるようだ。退職間近の看護婦でも月23000クローナというケースもあるらしい。一方、雇い主であるスウェーデン地方自治体連合によると看護婦の平均月給は24500クローナ(43万円)であり、過去10年にわたって他の公共部門の職員よりも上昇幅は大きかった、という。

スウェーデンにおいても男女間の賃金格差は残っている。しかし、それは男性と女性とで賃金が違ったり、総合職と一般職や正社員とパートといったかたちではなく、女性が多い看護のような仕事の賃金が男性中心の職場と比べて低賃金であるという形で存在している。そこで、その男女間の賃金格差も含めて、大学教育を必要とするにも拘わらず低賃金である看護婦の待遇改善を求めてストライキが行われた。

結果としては、それほどの勝利を得られなかったが、上の看護婦の賃金水準を見てみると日本と全然違うことがわかる。平均月給が24500クローナである一方、現在の看護婦の10分の1が20000クローナ以下、合意された初任給が21100クローナとなっている。日本の場合は年功序列的な賃金体系が多い中、労働者間の平等が非常に保たれていることがわかる。

日本において、中年の正規労働者が異常な高給を得る一方、同じ仕事をしている派遣労働者が低賃金を得ている状況を考えると、平等化していく必要性を感じざるを得ない。また、そのような賃金の平等化は女性にとって不利な現在の賃金体系を改善し男女平等を促進すると同時に、経済の活動を活発化することにつながるだろう。

押していただけると、励みになります。


不況の経済学 その1

2009年03月03日 | 経済学

日本もアメリカも、それ以外の国も不況で大変だが、これから数回に分けて不況について考えてみたいと思う。今回は、不況の物的な側面について。不況や好況、景気循環においては人々の未来に対する期待など精神的な側面も関係してはいるが、まず基本になるのは設備などの物的な側面である。これらの設備、組織の営業網、販売網その他の物的な面の利用効率が景気循環の重要な位置を占めている。

企業がサービスを提供したり、製品を生産したりして利益を上げるためには工場を建てたり、販売網を構築したりする必要がある。理想的な世界においては、自由に変更したり解約したり出来るかもしれないが、現実の世界においては長期にわたって計画を立てて、設備を建設したりしていく必要がある。だから、企業においてはそれぞれの瞬間において色々なものが変更しにくい状態になっている。費用区分においては固定なんて言葉が用いられたりする。

その結果、投資したときの予定があたって需要があった場合には設備の稼働率は高いものになるが、そうでないと低いものとなる。これは、個別の企業だけにいえるのではなくて、経済全体についても言える。企業の多くがある方向に投資したときにその方面の需要が足りなかったり、あまりにも多くの企業が投資しすぎると需要が足りず稼働率が低くなってしまう。逆に、思わぬ需要に見舞われると稼働率が高くなることになる。これは好況のときにも言える。

需要が変動したときに、価格が一定ならひたすら生産することが利益をもたらすかも知れないが、大抵は生産しすぎると価格を下げないと売れなくなる。これは、その企業の価格設定が市場全体に影響を与える場合でなくても、それぞれの製品は少しずつ差別化されているし、地理的関係や販売網などの違いによって緩やかに統合されつつ差別化されているからである。

だから、一般に予想より需要が少ないと稼働率を低下させて対応し、需要が多いときには稼働率を上げて対応することになる。しかし、予想はよく外れるものなので投資が多すぎて無駄になったりすることになる。そして、社会全体でそのような社会的な投資の無駄が多い状態は、社会全体の生産力を低下させるので不況と呼ばれるものが起こることになる。つまり、不況というのは資源の分配が上手くいっていない状態とも言える。

押していただけると、励みになります。