現在景気対策として無利子国債や政府紙幣が話題に上っている。しかし、はっきり言って止めた方がいいだろう。無利子国債というのは、利子がない代わりに国債の額面分だけ相続税の課税資産から差し引くという特典を付けた国債だ。無利子といってもいいことばかりではなく、相続税がその分入ってこなくなる。一部の資産家にとっては、大幅な節税になる可能性もあり、結局は一部の富裕層に対する減税にしかならない可能性が高い。過去に実施された例においても、課税逃れに使われたという実績がある。現在の低金利の状況においては、このような国債を発行するメリットはまったくといって良いほどないだろう。
政府紙幣の方だが、結論として言えば普通に国債を発行した場合と同じが、インフレ等混乱が起こるかのどっちかだろう。政府紙幣というのは、現在の日銀が発行する日本銀行券ではなく、政府が発行する紙幣だ。それを日銀が引き受け日本銀行券と交換し、政府がそれを何かに使うという形で経済政策を行うことになる。すぐ分かることだが、こうすると紙幣の流通量が増える可能性があるのでインフレが起こるかも知れない。だから、結局は通貨を毀損して国民全体に負担を強いるかもしれない。何の副作用もない政策であることはありえない。
100年に一度の危機と言う事で、このようなことを考えているのかも知れないがはっきり言ってお粗末としか言いようがないだろう。経済政策に必要なお金がどこからともなく出てくることはないので、結局は長期的に考えてお金をどのように使うかという問題に過ぎない。90年代に景気対策として多くの国債を発行して財政出動したが結局はほとんど効果がなかった。危機を利用して無駄な支出をしたら結局は後の世代に負担を押し付けることになるだろう。無駄になっても良いからという理由で何でもいいから政策を考えようとしている人たちもいるようだが、はっきり言ってそのような政策にお金が使われる一方、貧困が拡大しているという現実は政治の無能を示すことになるだけだろう。