車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

無利子国債はやめれ

2009年03月19日 | 政治

現在景気対策として無利子国債や政府紙幣が話題に上っている。しかし、はっきり言って止めた方がいいだろう。無利子国債というのは、利子がない代わりに国債の額面分だけ相続税の課税資産から差し引くという特典を付けた国債だ。無利子といってもいいことばかりではなく、相続税がその分入ってこなくなる。一部の資産家にとっては、大幅な節税になる可能性もあり、結局は一部の富裕層に対する減税にしかならない可能性が高い。過去に実施された例においても、課税逃れに使われたという実績がある。現在の低金利の状況においては、このような国債を発行するメリットはまったくといって良いほどないだろう。

政府紙幣の方だが、結論として言えば普通に国債を発行した場合と同じが、インフレ等混乱が起こるかのどっちかだろう。政府紙幣というのは、現在の日銀が発行する日本銀行券ではなく、政府が発行する紙幣だ。それを日銀が引き受け日本銀行券と交換し、政府がそれを何かに使うという形で経済政策を行うことになる。すぐ分かることだが、こうすると紙幣の流通量が増える可能性があるのでインフレが起こるかも知れない。だから、結局は通貨を毀損して国民全体に負担を強いるかもしれない。何の副作用もない政策であることはありえない。

100年に一度の危機と言う事で、このようなことを考えているのかも知れないがはっきり言ってお粗末としか言いようがないだろう。経済政策に必要なお金がどこからともなく出てくることはないので、結局は長期的に考えてお金をどのように使うかという問題に過ぎない。90年代に景気対策として多くの国債を発行して財政出動したが結局はほとんど効果がなかった。危機を利用して無駄な支出をしたら結局は後の世代に負担を押し付けることになるだろう。無駄になっても良いからという理由で何でもいいから政策を考えようとしている人たちもいるようだが、はっきり言ってそのような政策にお金が使われる一方、貧困が拡大しているという現実は政治の無能を示すことになるだけだろう。

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絶対計算者

2009年03月19日 | 経済学

経済や社会の分野において統計的なデータや分析手法が大きな役割を果たすようになってきている。そのような統計的な手法に頼る人たちを絶対計算者として描いた『その数学が戦略を決める』イアン・エアーズに次のようなくだりがある。

人間の心には、よく知られている各種の認知的な欠陥や偏りがあって、これが正確な予測能力を歪めてしまっているのだ。人は、重要そうに思える特異なできごとをあまりに重視しすぎる。・・・

人は偏った予測をしてしまいがちなばかりか、それについてとんでもなく自信過剰である・・・実は偏りと自信過剰の問題は、予測が複雑になるにつれて一層悪化する。・・・ノイズの多い環境だと、どの要因を考慮すべきかははっきりしないことが多い。・・・

絶対計算者たちは予測にあたりどの要因をどれだけ重視すべきか見極めるのがうまい。・・・変数がたった二、三個のずいぶん雑な回帰分析でも人間より予測がうまいのは、まさに変数の適正な重みづけがずっとうまいからだ。・・・

専門家は自分は専門としている分野についてよく知っていると考えている。しかし、実はたくさんの知識や経験は、より優れた予測や行動に結びついていないかもしれない。もしかしたら、専門家が長年の経験と知識から導き出す結論は、その分野の間違った伝統や思い込みからくるものに過ぎないのかもしれない。

上の例で面白いのは、専門的な知識が間違っているのではないということだ。それぞれの知識自体は正しいが、その重み付けによって実は多くの結論の可能性があるということだ。経験を積めばより優れた結果を残せる可能性もあるかもしれないが、もしかしたら経験を積むことによってその分野の間違った偏見や思い込みを受け継いでしまうかもしれない。

これは、多くの分野で言えることだろう。長年の経験者ではなく、どこからともなく現れた新参者がその分野の地平を変えてしまう。専門家は、昔の知識を学び、それを理解することが大事だ。自分勝手な我流でやって上手くいくはずがないと言うかも知れない。問題は、その中にはその時代の専門家達が勝手に正しいと思い込んでいる前提が紛れ込んでいるかもしれない。過去の知識を知っておくことは重要かもしれない、しかし、それを知った上で伝統にこだわって物事を客観的に見ようとしない専門家たちに挑戦しようとする新参者が現れたらどうだろう。それこそ、よく起こっている現象なのかもしれない。

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ヘッジファンド

2009年03月19日 | 経済一般

近頃何かと評判の悪いヘッジファンドだが、実際にやっていたないよう事態がかなり際どい内容だったらしい。際どいというのは、違法だとか不正だといかいう話ではなくて、より高い運用成績を上げて顧客と利益を分け合うのではなく、半分顧客を騙すような形で自分達の成功報酬だけをひたすら追及していたらしい。ヘッジファンドという言葉から他のファンドよりも優秀な運用成績を期待する人も多いと思うが、実際のところそれほどでもなかったらしい。

話のポイントは、ファンドマネージャーの報酬に成功報酬部分があって、それが前回の最高値を上回った部分の20パーセントというような形だったことだ。成功報酬だからいいじゃないかと思うかもしれないが、値下がりしても責任を負わなくていいので出来る限りレバレッジを利かせて値動きの大きな運用を招くことになった。さらに、一年目に好成績でその後値下がりしても成功報酬を返さなくていいので、短期的に収益を上げることが可能で長期的にリスクのある運用が行われた。結果、短期的な収益でファンドマンエージャーは多額のボーナスを得て、値下がりによって投資家が多額の損害を被ることになった。

今話題になっているサブプライムローンは、短期的には返済が緩く見た目の利益が出るが、長期的にはデフォルトのリスクのあるものだった。だから、ヘッジファンドにとっては格好の投資対象だった。結果としては、投資銀行の経営者、ファンドマネージャー、格付け会社が組んで大々的な詐欺を行ったようなものだが、経営者やファンドマネージャーは多くのボーナスを手にして勝ち逃げした。現在、アメリカで投資銀行の経営陣のボーナスが大問題になっているのにはそんな事情がある。

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