日経ビジネスオンラインに政治家の経済政策に対するアンケート結果が出ていたので、読んでみて思ったのだが、問題の解決からは程遠いなというのが感想だ。対立点としては、大きな政府を支持するか、小さな政府を支持するかということや、結果の平等と競争条件の平等のどちらを優先すべきかといったことを質問していた。記事によると、民意及び主流は競争推進派であるようだ。
問題は、競争条件の平等を支持しようが、結果の平等を支持しようが、正規労働者と非正規労働者との格差は論外で、これから先同一労働同一賃金の方向に進んで行かなければならないのに、そのことを誰も積極的に認めようとしていないことだ。これは、現在力を握っている労働組合や中高年労働者に配慮しているのだろうが、平等にしろ競争にしろどの条件で計っても正しいことが分かりきっている政策を避けて議論しようとしているために、大きな政府を採用すべきだという主張や、弱者に格差を我慢しろといったような意味不明な主張しか出てこなくなっている。そして、なぜか弱者の味方を自任する人が移民推進派で派遣労働者の待遇悪化を推進していたりする。
結局、特権階級である中高年労働者の高給という問題や正社員と非正社員との格差という問題を避けているから、意味不明な対立軸でしか議論できなくなってしまっている。八代氏が、正社員の待遇を非正社員に近づける方向でも議論していくべきだと発言したときの徹底的なバッシングに見られるように、メディアが一部の意見を衝動的に攻撃し葬り去るので客観的な議論が出来ない。色々な意見を主張しあって、その中から最適でないにしても納得できる政策を実現していかないといけないのに、そもそも最初の段階で色眼鏡で見て意見を都合のいい範囲に絞り込んでしまうので生産的な議論が不可能になる。まだまだ正常化への道は遠そうだ。