車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

政治家の経済政策

2009年03月16日 | 政治

日経ビジネスオンラインに政治家の経済政策に対するアンケート結果が出ていたので、読んでみて思ったのだが、問題の解決からは程遠いなというのが感想だ。対立点としては、大きな政府を支持するか、小さな政府を支持するかということや、結果の平等と競争条件の平等のどちらを優先すべきかといったことを質問していた。記事によると、民意及び主流は競争推進派であるようだ。

問題は、競争条件の平等を支持しようが、結果の平等を支持しようが、正規労働者と非正規労働者との格差は論外で、これから先同一労働同一賃金の方向に進んで行かなければならないのに、そのことを誰も積極的に認めようとしていないことだ。これは、現在力を握っている労働組合や中高年労働者に配慮しているのだろうが、平等にしろ競争にしろどの条件で計っても正しいことが分かりきっている政策を避けて議論しようとしているために、大きな政府を採用すべきだという主張や、弱者に格差を我慢しろといったような意味不明な主張しか出てこなくなっている。そして、なぜか弱者の味方を自任する人が移民推進派で派遣労働者の待遇悪化を推進していたりする。

結局、特権階級である中高年労働者の高給という問題や正社員と非正社員との格差という問題を避けているから、意味不明な対立軸でしか議論できなくなってしまっている。八代氏が、正社員の待遇を非正社員に近づける方向でも議論していくべきだと発言したときの徹底的なバッシングに見られるように、メディアが一部の意見を衝動的に攻撃し葬り去るので客観的な議論が出来ない。色々な意見を主張しあって、その中から最適でないにしても納得できる政策を実現していかないといけないのに、そもそも最初の段階で色眼鏡で見て意見を都合のいい範囲に絞り込んでしまうので生産的な議論が不可能になる。まだまだ正常化への道は遠そうだ。

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沖縄密約暴露宣言

2009年03月16日 | 政治

民主党の岡田副代表が民主党が政権を取った場合を想定して、沖縄の日本返還に絡んで日本とアメリカとの間で結ばれた密約をすべて公開するという発言をした。

民主党の岡田克也副代表は14日、大阪市で講演し、1972年の沖縄返還の際に日米両政府間に存在したとされる密約に関し、「政権が代わったら全部出す」と述べた。

沖縄返還を巡っては、米国の核兵器再持ち込みを認めたり、返還地の原状回復費400万ドルを日本が負担したりする密約を裏付ける米政府の公文書が公開されている。日本政府は密約を否定しているが、岡田氏は「隠しているものは全部出す。どれだけウソを言ってきたか分かる」とも語った。(gooニュースより)

なんともかんとも民主党に政権を任せて大丈夫なのかと心配になるニュースだ。政権をとるということがすべて自分達の好きにやって良いということではなく(それなら独裁政権と同じだ)、あくまで国民を代表して日本の政治を担う役割を与えられるということを理解しているのだろうか。過去のニュースにおいてもそうであったが、国民の意思を無視して自分達がやりたいことを勝手にやろうとする。それでいて選挙においてそれを前面に出して民意を問おうとしない。

代議制は直接民主制があまりにも選挙民に負担を強いるので、その代替案として採用されているものであるが、機能するためには代議士には特別の自制心が必要である。選挙で選ばれたのだから一定の支持を集めていることは確かだ。しかし、代議士に白紙委任状を渡したのではなく、それぞれの候補者の公約や実績を勘案してひとりが選ばれているに過ぎない。だから、どの候補者ですら全体として他の候補者より選挙民の支持を得ているという次元を出ない。そのような状況においては、自分の考えだけでなく選挙民の意思に気を配る必要があるのではないだろうか。

今回の話では、沖縄返還時の密約を公表するということであるが、これは日本とアメリカの間で沖縄返還という日本にとっても重要な政治課題を達成するためにアメリカと約束し今まで守ってきたことである。それを、突然過去にさかのぼって公開するということをしたら日本に対する信用はこれからどのようになるのであろうか。日本はあとから勝手に条件を変えて約束を破る国だと思われたら外交において取り残されることになるのではないだろうか。一時の政権が過去にさかのぼってすべてを変える。国民はそのような絶対的な権利を民主党の与えている訳ではないだろう。

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明日は明日の風が吹く

2009年03月16日 | 経済一般

大竹文雄ブログの明日は明日の風が吹くという記事より

 あなたが漁師だったとしよう。あなたは、サラリーマンのように毎日8時間漁に出かけるような仕事の仕方をするだろうか。サラリーマンではないのだから、毎日、働く時間を変えるという人も多いだろう。きちんと計画を立てることが好きな人なら、一日の目標漁獲高を決めて、漁に出かける人がいるかもしれない。魚がなかなか取れない日は、目標に到達するまで長時間仕事をして、大漁の日はすぐに目標を達成できるのでさっさと引き上げてくる。一方、魚が取れそうもない天候の時は仕事を休んで、魚の大群が来て天候もいいという日に漁に出かけるという人もいるだろう。

ここで、漁師の仕事はきつくて、どの働き方の漁師も1週間の労働時間は40時間で仕事をしているとしよう。毎日天候がランダムに変化しているとしよう。このとき、毎日8時間タイプ、目標漁獲高タイプ、大漁時集中タイプのどの漁師が、一週間での漁獲高が一番多くなるだろうか。

 毎日8時間きっちり働く人や毎日の目標漁獲高をきちんと決めている人が、漁獲高が多いように思えるかもしれない。しかし、答えは大漁のときに集中して働くタイプである。次に漁獲高が多いのは、毎日8時間働く漁師、一番少ないのは目標漁獲高を決めている漁師である。

 なぜなら、一週間で働く労働時間が決まっているのだから、最も魚が取れる時間に集中的に働いた方が、魚が取れない時間に長く、魚が取れる時間に短く働くより、より多くの魚が取れるからだ。

 若手芸能人や歌手は、売れっ子になると、ほとんど寝る間もないほど働き続けるのも、同じ理屈だ。人気がいつまで続くか分からない以上、仕事の依頼があるときには、睡眠時間を削ってでもできる限り引き受けて、人気がなくなったときに十分休めばいいのだ。人気が安定してくれば、無理に働いて体を壊すよりも、コンスタントに仕事を引き受けるようになるだろう。

生産性に関しての洞察が得られる面白い記事である。ようは時間当たりの漁獲高や売り上げが重要であるということだ。だから、企業でもなんでも収益を上げるときに上げられるだけ上げることが、逆に長期的に見るとより大きな収益と生産性を可能にする。

一方で、報酬体系や契約関係が拙いために逆に生産性が歪むということも起こるだろう。上の芸能人の例を上げると、今年は給料は売り上げの3割だが来年からは5割出さないといけないというような場合は、出来る限り今年の内に売り上げを上げないとならなくなる。その方が会社として儲かるからだ。そうすると、逆に全体としては長期的な収益を損ない、芸能人が大きく損をする可能性もある。

これは、サービス残業が起こる理由でもある。会社としてはサービス残業はタダなので払っている給料の中で最大限収益を上げようとする。問題は、そうすると会社としては都合がいいかもしれないが社会全体としては大きな問題を抱えることになるということだ。このように、契約関係の不備や、規則の逸脱が全体の利益を損なうことはよくあるので、システムを設計する場合には十分注意する必要があるだろう。

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