ここは最近しってよく見ているサイトなのだがコメント欄が盛り上がっていて羨ましいかぎりだ。あそこはヒューマン・ガス、じゃなくて人事コンサルタントの城繁幸氏の新しいブログだそうだ。城繁幸氏は、『若者はなぜ3年でやめるのか?』でも有名だ。派遣切りや偽装請負、派遣社員の非人間的な扱いが問題になっているが、コメント欄でも派遣を規制するかどうかで議論が盛り上がっている。読んでいると、貸金法規制の時の議論を思い出してしまうが、私は、日雇い派遣あたりは禁止してもいいかなと思いつつ、まず第一に違法な派遣を徹底的に取り締まる必要があると思う。
派遣の再規制や禁止に対する反対の理由は、そんなことしたら今ある仕事がなくなってしまう働いている労働者が一番困ってしまうというものだ。規制によって雇用内容が悪化する人が一人でもでたらいけないとするとそうならざるを得ない。問題は、他の政策との兼ね合いでどうかということだ。今まで、非正規労働者を無視した正社員保護やベースアップをやってきて、それが派遣労働者の待遇を押し下げてきた。そのような市場を捻じ曲げ弱者に負担をしわ寄せすることには声高に反対せずに、派遣の規制の段になってなぜ派遣のためにという理由を持ち出すのだろうかと思うだろう。最低賃金のアップにおいても同じだが弱者保護の政策に対してのみ、失業が増えるかもしれないという理由で反対するのはどうなんだろう。正社員の仕事や賃金の保護など失業を増やすようなことは平気でやっているのに。
実は、派遣を規制したり、最低賃金を上げたりしても失業が増えない簡単な方法がある。派遣規制や最低賃金値上げをしつつ、職業訓練や政府からの新しい仕事に賃金を払えばいい。こうすれば派遣規制や最低賃金値上げの負の効果を相殺して、メリットだけを生かすことが出来る。貸金法規制の議論においてもそうだったが如何なるマイナスの部分があってはならないとすると難しいが、他の政策で補完すればいい。上限金利を下げた上で違法な取立てや闇金融の取り締まり強化を行い、多重債務者への対策を強化すればいい。これで、消費者金融の利益を減らしつつ、借り手にも危害が及ばなくなる。
いつもいつも不思議なのだが、消費者金融の強引な取立てや派遣業者の違法な派遣、大企業の正社員に有利な制度変更に対しては静かなのに、問題が起こって貸金法規制をしようとか派遣法規制をしようとかなると大騒ぎになる。騒ぐところが違うんじゃないだろうか。明らかに大きく悪化させるのには反対せずに、いい面もありつつ若干問題もある時に絶対駄目だと大騒ぎする。犠牲を強いられる人が少しでもいれば規制によって多くのメリットがあるのに反対する。根本的な問題に力を入れるべきだし、部分的に駄目でもいい面もあるから全体の政策の中で議論していけばいい方向にいけるのではないだろうか。
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