中央公論新社刊「猫」を読む。
井伏鱒二、大仏次郎、谷崎潤一郎、寺田寅彦などそうそうたる作家達による
猫にまつわる随筆集。
作家達は、大抵子供や奥様にせがまれて渋々飼うのを許すのだけれど、
だんだんと猫に魅せられメロメロになって行く。
「ねえや」や「御用聞き」の出てくる昭和二十年前後の暮らし振りも懐かしく
面白い。
でも、人間だって食糧難で大変だった時代、猫たちも又大変だったんですね。
疎開先に連れて行かれて、農家の鶏を失敬して大騒動になったり.......
母猫は決して仔猫より先に餌を食べないなど........
猫の出産、子育ての話は何とも身につまされるし、昨今の幼児虐待など猫
には聞かせられない話と思ったり....
登場する、たま、ミケ、ちび、とら、そして目つきの悪いノラ達が、作家の確かな筆により生き生きと描写され、約半世紀も前に生きた猫たちが今にも庭先に
現れるような錯覚に陥ってしまう。
猫好きの方にはお薦めの一冊かもしれません。
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