道端鈴成

エッセイと書評など

Tube's dilemma: バカ度+偽善度>100/200

2011年02月15日 | Tube's dilemma
「正社員化」で職が減った日本郵便

  昨年、6500人の契約社員を正社員化した日本郵便が、今度は数千人規模で彼ら非正規の雇い止めをするという。既に1200名の新卒採用凍結は発表していたが、それでも足らずにクビを切るわけだ。「正社員化→新卒採用凍結→非正規クビ」という、絵に描いたような三段落ちである。経営状況を無視して、コスト増につながるような規制をかければどうなるか。「小泉改革のせいで格差拡大」とか「規制強化で雇用が増える」とかトンチンカンな主張をする人たち向けの、日本郵便の皆さんによる体を張ったシミュレーションと言えるだろう。有期雇用契約の規制をすれば正社員が増えると本気で信じている共産党、社民党、日弁連、そして厚労省の皆さんは、彼らの犠牲に感謝しつつ、現実というものをしっかり学びなさい。(29才の働く君へ、2月15日)


まともな経済学者は最初から言っていたことだ。労働市場の規制強化の結果生じるのは不効率な労働力配置の固定化、新規に職を求める人、非正規雇用者などの、弱い、あるいは転職により、将来の労働力としての展開の可能性がある人々の機会喪失、そして、強い労働組合にまもられた仕事への適合度や生産性の低い人もふくめた正規雇用者の既得権の確保である。これは連合や自治労、日教組など、民主党政権の支持基盤にとっては望ましいことだろうが、国全体の経済にとっては、不効率な労働力配置の固定化だけでなく、それを嫌っての産業の国外流出もまねき、衰退への道である。一に雇用、二に雇用と言っていた菅首相は問題が分かっているのだろうか?経済学に明るくないことは、乗数効果についてのとんちんかんな国会答弁や、国債格下げについて自らそういうことに疎いといったことでも分かる。経済音痴度、あるいはバカ度は比較的高い。もう一方で、労働市場の規制強化が支持母体である労組の意向にそう政策であることも分かっているのだろう。しかしそうした個別利害は正面には出さない。だから、偽善度も高いと言えるだろう。現在の民主党政権の政策を是認するには、バカ度が低すぎて政策の効果を明敏に分かっても難しく、また、正直に国益に反した個別利害が自分には大事だとも言いにくいので、バカ度と偽善度が各100点だとして、バカ度+偽善度の合計が少なくとも100点を超えないと難しいのではないかと思う。この点で菅氏は、バカ度、偽善度ともにかなりのレベルのようなので、民主党政権の宰相にふさわしいと言えるのではないだろうか。

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