2007年刊行の東野圭吾の推理小説。
バーテンの雨宮慎介(30歳)が被害者のような、
加害者のような、探偵のような役回り。
慎介は勤務するバー「茗荷」の閉店間際にやって来た初めての男、
この最後の客を送り出し店を閉めて出たところを、
後ろから鈍器で頭を殴られ昏倒する。
2日後、昏睡から目覚めた慎介は記憶の一端が欠落している事を知る。
1年半前、自転車の通行人:岸中美菜絵を車で跳ね死亡させた事を。
殴打されたショックからか、忘れたいと思っていたからか、
その時の記憶がない。
慎介を殴打した犯人はその時の被害者の夫:岸中玲二で、
慎介が死亡したと思い込み、殴打後に自殺していた。
慎介は失った記憶を取り戻そうと周囲の人々に話を聞く。
バーの閉店後、泥酔した常連客を車で送った帰り道、
借りた車だと言う事もあってか自転車の岸中美菜絵を跳ねてしまった。
急ハンドルを切った事で避けようとした後続の車が、
跳ね飛ばされた美菜絵に突っ込み死亡させてしなったのだった。
岸中玲二は慎介を襲ったのだが、もう一人の加害者には、
何もしていない・・・。実際に美菜絵を死亡させたのは、
後続車を運転していた木内晴彦だと言うのに。
仕事に復帰した慎介は元の同僚やホステスたちから、
木内の情報を聞き出し調べ始める。
ある日「茗荷」に得体のしれない女性客がやって来る。
慎介はその女性に心を奪われる。そしてその女性に
操られるようになっていく。
この女性の正体は? 何のために慎介の前に現れたのか?
少しづつ戻り始めた慎介の記憶が完全に戻った時、
想いもよらない事故と事件の真相が解る。
2019年にWOWOWでドラマ化された。
雨宮慎介役は三浦春馬、岸中玲二役は柿沢隼人、岸中美菜絵役は
高橋メアリージュン、木内晴彦役は淵上泰史。
謎の女性にいいようにもてあそばれる慎介が、
いい気味でもあったのだが、実際にあったら背筋がぞっとする。
交通事故の加害者は死亡事故を起こしたとしても、
罪悪感を感じるどころか、自分は悪くない、
自分も被害者だと思うところがあるようだ。
この小説では・・・かも知れないけれど。
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