カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

ボクシング名勝負 ~その②~

2005年10月11日 19時30分59秒 | スポーツ / SPORTS
この試合が記憶に残っているのは、
畑山選手のこの言葉があったからかもしれない。

試合前、チャンピオン畑山選手はこう語った。
  「坂本選手はパンチがあって、アゴが強い。
   僕はパンチがなくて、アゴが弱い。
   だからこそ僕が勝てるんです。」

これを聞いた時、「」と思った。
普通に考えれば、パンチがあって、アゴが強い方が勝つに決まってる。
なぜ畑山選手は、試合前に自分の勝利を確信していたのか?

      その②

畑山隆則  坂本博之

2000年10月11日、WBA世界ライト級タイトルマッチ

その答えはこうだ。

パンチがあると思っていると、一発のKOパンチを狙うために、
手数が減り大振りになる。捨てパンチがないと、
なかなか大きいパンチは当たらない。
パンチが当たらないと、焦ってくるしリズムもつかめない。
空振りは、スタミナを消耗する。
それにパンチの強弱がないと、打たれていてもパンチに慣れてくる。

アゴが強いと思っていると、
多少打たれても倒れないと言う過信があるために、
ガードが甘くなる。弱いパンチでも数多くもらっているうちに、
だんだんダメージが蓄積されて効いてくる。

逆にパンチがない事を知っていると、
一発を狙わずコツコツと細かいパンチを当てにいくために、手数が増える。
パンチが当たれば、気分がよくなるし、ボクシングにリズムが出てくる。
そして自分のペースに持ち込みやすい。

自分のアゴが弱い事を知っていると、
パンチをもらわないようにガードが固くなる。

深いな・・・。畑山選手は自分をパンチがないと言っていたが、
私はパンチがないとは思っていなかった。
それは戦績からもわかるが、
たぶん畑山選手が謙遜していたのだろう。

            

日本人同士の世界戦を観る時には、複雑な気持になる。
どちらも負けて欲しくない、どちらも勝たせたい。

坂本選手のハングリーさは本物だ。
この人の前では、誰もが恵まれていると思わざるを得ない。

自らも孤児院で育ち、飢えた時にはトカゲまで食べたと言う。
そしてその孤児院の子供達に、
夢を与え続けなければならない。
強いお兄ちゃんで、いなければなられない。
まるで、ボクシング版タイガーマスクのようだ。

しかし・・・試合開始から畑山選手の言葉を裏付けるように、
坂本選手が大きなパンチを振りながら突進。
それを畑山選手が上手くかわしながら、自分のパンチを当て続ける。
坂本選手の必殺パンチは、連続しては当たらない。

迎えた10ラウンド、畑山選手のパンチをもらい続けた坂本選手は、
まるでスローモーションのように、リングに倒れていった。

畑山選手の戦績は、29戦24勝(19KO)2敗3分。

ボクサー畑山隆則

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