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雑感や書評など

司馬遼太郎「関ヶ原 (上)」

2007-04-13 22:27:48 | 書評
やっぱり司馬遼太郎は


最近は、すごーく読みたい本もなく。
なんとなく司馬遼太郎の「関ヶ原」を手にしました。

上巻読了。


相変わらず、小説内に司馬遼太郎エッセイが差し込まれる体裁。
冒頭から司馬遼太郎自身が登場しているしね。

小説としてのスタイルは、決して完成度が高いわけじゃないんだろうけど。

それでも、ちょこちょとと顔を出すトリビアに、やっぱり「へぇー」となってしまう。

で、退屈しないで、サクサク読める。

つまり、やっぱり面白い。


全体としては、石田三成=善、徳川家康=悪、で進みます。
勧善懲悪とまではいきませんが、司馬遼太郎としては、石田三成を日本の「諸葛孔明」にしたかったようです。

確かに、「主君の遺児を守って、簒奪の野心家に戦いを挑む」という構図は、物語としては魅力でしょうね。


でも、この「関ヶ原」。あんまり、悲壮感がないね。

物語を盛り上げるには、もっと「秀吉と三成の主従関係」や「遺児の秀頼への三成の忠勤」を強調すれば、いいのに。

メインは家康と三成の丁々発止の頭脳戦になっていて、それはそれで面白いけどね。


司馬遼太郎としては、男の戦いを描きたかったから、あんまり、ベタベタな人情は書きたくなかったんだろうか?


他の司馬遼太郎の感想。
司馬遼太郎「燃えよ剣」


関ヶ原〈上〉

新潮社

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