すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

司馬遼太郎「燃えよ剣」

2005-01-18 19:40:52 | 書評
「萌えよ剣」というタイトルはどうでしょうと思ったのは、私だけ?


大河ドラマの「新選組!」は、見てましたでしょうか? 僕は、見てません。

ちょこっとは見たんですけどね。
黒鉄ヒロシの「新選組」を読んでいたせいか、どうも青臭さが鼻についてしまい、ついていけませんでした。
「誠」なんて旗を掲げられても。所詮は、田舎の暴れん坊が、時流に乗って京都で大暴れしただけだもんなぁ。

今から考えると、羽賀健二が誠意大将軍と称して新選組の格好してたのは、我々の想像を超える深い意味があったのかもしれない………。(羽賀健二は、本当に新選組の格好をしていたでしょうか? うろ覚えです。Googleで探して見ましたが、三十路前の男が、仕事もしないで、「誠意大将軍」や「羽賀健二」というキーワードで必死に検索している姿に自分で感動してしまい、途中で止めてしまいました。生きるって大変だね)


それは、ともかく。
大河のせいで、新選組関連の書籍が本屋に平積みになっておりまして(徐々に義経に代わりつつありますが)、ちょうど読む本もなかったので、「燃えよ剣」を手にしてみました。

近藤は、公命を待たず、独断専行で池田屋を襲撃した。近藤、歳三には、政治的配慮などはない。あるのは剣のみである。(司馬遼太郎「燃えよ剣(上)」341~342頁 新潮文庫)

「0」か「1」か? といったふうにデジタルに切り分けてしまうと、新選組なんて「保守反動の暴力機関」に過ぎなくなってしまうもんなぁ。そのことについて、さすがに司馬遼太郎ですから、分かっております。
それでもなお、そこに「美学」を見れるかどうかは、人によるのでしょう。

「燃えよ剣」に関しては、司馬遼太郎が主人公の土方に入れ込み過ぎておりますが(司馬遼太郎の本は、作者が惚れこんだ人間が中心人物になるから、入れ込むのは毎度のことか)、それでも過剰に新選組を美化することなくバランスの良い物語を提示してくれます。

なにかにしがみついて生きざる得ない方には、共感できる本ではないでしょうか?


燃えよ剣 (上巻)

新潮社

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燃えよ剣 (下巻)

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