国内最多十四基の原発が立地する福井県にある永平寺(永平寺町)が、脱原発の視点から生活や生き方を考えるシンポジウムを十一月二日に開く。永平寺が原発関連の催しを開くのは初めて。布教部長の西田正法(しょうぼう)さん(56)は「使用済み核燃料という負の遺産を後世に背負わせる原発は、すべての生物や自然を慈しむ仏教の教えに反する」と話している。シンポのテーマは「いのちを慈しむ~原発を選ばないという生き方」。西田さんらはこれまでも、原爆に関する映画上映や展示会を行ってきたが、福島第一原発事故を機に「原発のある暮らしを見つめ直しては」との思いでシンポを決めた。長年、反原発運動に携わる福井県小浜市の明通寺住職、中島哲演(てつえん)さん(69)と、福島県飯舘村で酪農をしていた長谷川健一さん(58)が講演する。二人は作家朴慶南さんの司会で討論もする。原発で使い終わった廃棄物は高濃度の放射性物質を含むが、再処理する核燃料サイクルも、埋め立てる最終処分場の建設地もめどが立っていない。西田さんは「原発批判だけが目的ではない。電力をたくさん使う便利すぎる生活は必要かを、考える機会にしてほしい」と話している。シンポは午後一時から、永平寺町の「四季の森文化館」で。定員四百人、入場料五百円。問い合わせは永平寺の「禅を学ぶ会」事務局=電0776(63)3456。ソース