2006-2007シーズンも終了し、マンシャフトとして1年目の戦いが終わった。移籍先が決まった者は、新しいクラブに旅立つ。そして、契約年数残り1年の選手で未だ契約更改していない者は、自然と自由契約となる。ここまで契約更改されないということは、言わばクラブに必要無いということだ。該当するのは2人いて、1人はまだ20歳と若いMFミヒャエル・マルツだ。そして、もう1人。
「オーナー、ここまで世話になったな」
「クリューガー、済まない。君にはクラブ創設時から世話になった。それなのに、こういう形で別れるのは、私としてもつらい」
ヴァントの中には申し訳ない気持ちは本当にあったが、彼の眼はクリューガーをしっかりと見ていた。
「気にするなって、こうなることは分かってたさ。俺の力じゃ、とてもじゃないが2部でも通用しないのに、1部なんて・・・とても、無理だ」
クリューガーはヴァントの方を叩きながら、笑ってみせた。それでも、最後は少し寂しそうな感じで、軽く下を見るように俯く。
「これからどうするんだ、クリューガー」
クリューガーは顔を上げてヴァントの方を見ると、笑みを見せて口を開いた。
「必用としてくれる所があれば、またそこでサッカーをするさ。そうでなければ、指導者にでもなるよ。おっと、もうこんな時間だ。じゃあ、俺は、もう行くぜ。この後、次のシーズンの準備があるんだろ。こんな所で油を売っている場合じゃないぜ」
こうして、ラルク・クリューガーはクラブを去った。2人いた年棒300万円男は1年目でいなくなったのである。この後のクリューガーは、今シーズンから新たに新設したクラブで、また11部リーグからサッカーを始めたらしい。リーグでは7得点を上げて10部に昇格させたが、引退して地元の子供たちにサッカーを教えたとか教えないとか、そんな話が先の未来で、風に乗って流れてきた。
2007年7月
ヴァントはジャンヌと一緒にスポンサー選考をしていた。メインスポンサーが今季も3社が候補として名乗り出ている。前回、名乗り出ながら採用しなかったアフリクマップ航空。そして、アフリカの食品会社であるフーク・フーズ。最後に3社で最もスポンサー料が高いファンタグリースドリンクだ。特典こそ無いが、契約金は4億9500万円を出してくれるそうだ。
「今は、資本金が多い方が良い。だから、ファンタグリースドリンクとメインスポンサー契約を結ぼう」
ヴァントは5億円を提示した。交渉は成立し、2年契約を結ぶ。
続いて、サブスポンサーの選考に入る。6社が名乗り出てくれたが、枠は1つしか無い。最もスポンサー料の高いWWATNWSという大手スポーツ雑誌社と2年契約を結んだ。
サプライヤーはエガムーチョで変わらないが、ヴァントはユニフォームの売り上げをアップさせるため、デザインの変更を少しだけ行った。腕のラインを消して、横に黒い線を入れたデザインに変更。
これで、全てのスポンサー選考会議は終了し、スポンサー料6億8510万円を得る。
【資本金】 13億6543万8700円
今度は背番号の変更だ。これは大幅に変更することになった。
アレクサンダー・クリズペラ 19→4
マルティン・ベック 22→6
マーク・スタイン 21→19
ヤン・バーデ 25→18
レネ・トレコフ 23→8
ミヒャエル・ゴルツ 11→21
セバスティアン・フライス 30→11
主将はリュディガー・タルナートで変わらない。
チケット料金は2000円から800円アップの2800円にした。最上級のカテゴリーにしては安い方だろう。年間広告費は倍増の2億4000万円で設定する。シーズンチケットは前回より500枚増の1000枚とした。
ジュゼッペからキャンプとツアーの説明を聞いたヴァントはキャンプを行うことを考えたが、2つの大会にエントリーできるらしく、そちらを優先した。アフリカクラブカップとアメリカクラブカップだ。前者は全てアフリカのクラブが参加し、後者は南米から5クラブ、北中米から2クラブが参加する。ヴァントは自分たちのクラブのレベルを考えると、アフリカクラブカップに参加した方が良いだろうと判断し、そちらへ参加することにした。キャンプにも参加できそうだったので、組織的な攻撃を得意とするクラブが多いことで知られるモロッコのカサブランカに行く。費用は8797万5000円だ。
【資本金】 12億7746万3700円
5選手が移籍や自由契約で旅立ち、それと入れ替わりに5選手が入団する。
(入団)
DF マルクス・バッベル(34) 191㎝84kg 背番号13
即戦力として獲得したベテランストッパー。シュツットガルトでは控えだったが、マンシャフトではクレセナーとセンターバックとしてコンビを組むことになる。
MF マルク・アンドレ・クルスカ(19) 178㎝75kg 背番号23
まだ19歳と若いが、能力は3部時のメンバーよりも高い。それでも、最初はベンチに入るのが精一杯か。
GK ラファエル・シェファー(27) 190㎝86kg 背番号22
前シーズンはドイツ1部でレギュラーとして活躍。その経験を今度はマンシャフトの正GKとして生かせるか。
FW ラルス・ユングニッケル(25) 179㎝73kg 背番号17
前所属はドイツ2部のコットブスでマンシャフトからゴールを決めたこともある。マンシャフト昇格と共に彼も昇格。フライスと2トップを組む予定で、1部でどれだけ点を取ることができるか。
DF トーマス・クレセナー(30) 187㎝82kg 背番号27
ゲルゼンキルヘン所属もベンチに入ることもままならなかった。それでも、マンシャフトの中では能力はトップクラスでクリズペラを右サイドバックに追い遣る程だ。バッベルとセンターバックでコンビを組む予定。