見果てぬ夢
先生のご夫君の病気で,6月一杯休講していたスペイン語教室が昨日再開した。
1ヶ月音読をさぼっていたので,思うようにスペイン語の発音ができなくなっていた。てきめんである。
昨日の授業は,スペインの小話に題材を求めて行われた。
ある少年が,クラスで1番の成績を収め,皆の前で先生に褒められる。ところが,放課後その少年が成績表を燃やしているのを親友が見つけ,親に見せれば褒美をもらえるのに,と詰問する。
少年は,「今日は褒められるだろうが,いつものように平凡な成績をとると,お前は努力すればもっと勉強ができて,将来は立派な職業について,お金を儲けるようになるのに,と言われる。そんな見果てぬ夢を膨らませるようなことはしたくないので,この成績表を燃やしている」と説明する。
この「果てぬ夢」について,子としてあるいは親としてどんな経験があるかを各々が語る形で,授業が行われた。
スピーチを聞きながら,わたしは晩年の父が語ったことを思い出していた。父は,一人息子のわたしが高校を卒業したら地元の企業に就職し,家に残ってくれたらと思っていた。しかし,わたしが大学への進学を希望しているのを知って,それをあきらめたとのことであった。
父には,生家の経済的事情で,進学をあきらめたという苦い経験があったことをわたしは知っていた。
ちょっと話題を変える。今日のBSテレ東の『おんがく交差点』にゲストとして登場したクラシックギターの第一人者の荘村清志さんは,ギターの手ほどきをプロになることを断念した父親から受けたとのことである。レッスンの時,難しいところがうまく弾けないと,父親の顔がだんだん怖くなってきて,泣き出したそうである。ギターをあきらめられると困る父親はそこで手加減したとのことである。
この話を聞いて,思い出したことがある。息子が小学生だったころ,囲碁を習いたいと言い出した。将来息子と烏鷺を戦わせる楽しみができると喜んだわたしは,早速碁盤を広げて四つ目殺しのような簡単な決まりを教えて,井目風鈴置かせて息子と対戦した。手加減は上達の妨げと,黒石を殺していったが,ふと気がつくと息子の目から涙がぽろぽろとこぼれていた。カミさんに「かわいそうに」とたしなめられ,思い返そうとしたが時すでに遅く,息子は2度と碁石を握ろうとしなかった。嗚呼。
話はまた変わる。『おんがく交差点』のコラボは,フェルナンド・ソル作曲の「ロマネスカ」だった。はじめて聴く曲だったが,大谷康子さんのヴァイオリンと荘村さんのギターのアンサンブルは素晴らしく,思わず涙がこぼれた。
公民館の玄関で
ランタナ
ヤマブキ
アマリリス
STOP WAR!