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羽花山人日記

徒然なるままに

新聞記事から

2022-04-15 20:36:48 | 日記

新聞記事から

昨日の朝日新聞の13面に,現在のウクライナ問題をめぐる2つの記事が出ていた。

一つは,『なぜロシアは力ずくか』というテーマによる,北海道大学教授で,前北大スラブ・ユーラシア研究センター所長の岩下明祐さんへのインタビュー記事で,なぜロシアはウクライナに侵攻するのか,なぜプーチンの国民からの支持が高いのかということについて,わかりやすく説明していた。

岩下さんによれば,ロシア国民には自分たちが偉大な民族であって,まわりを自分たちが導かなければという思い込みがあり,西側の毒リンゴを食べたウクライナはスラブ民族の仲間として抱擁したいという気持ちがあるのではないかという。そして,いま起きていることは冷戦の初期段階に似ていて,今は境界が新たに生まれる前の流動期ではないかという。

もちろん,この「解放」という名の侵略を岩下さんは容認するものでなく,センター長を辞める時の最後の仕事が,ロシアへの抗議声明だったそうである。

もう一つの記事は,名古屋大学教授の松尾陽さんによる,憲法季評『日本が守るべきものは何か』という論説である。

松尾さんは先ず,日本でウクライナは降伏すべきだという意見を聞くが,現在の状況ではこれはプーチンに与することに通じると批判する。ウクライナは2014年の「ユーロマイダン革命」に象徴される「脱露入欧」の路線をとっており,ロシアの侵攻にどのように対応するかは,ウクライナの人々が決定すべき問題である,と指摘する。これは大事な指摘である。テレビなどで,賢しら口でウクライナを批評する「識者」を見ると,腹立たしくなる。

次に松尾さんは,現在の日本がとるべき姿勢について論じている。避難民や戦後の復興支援は当然であるが,同時に重要なのは,国際社会において,日本がどのような理念を支持しているかを示すことだという。岸田首相の「力による現状変更は認められない」という発言の意味は大きい。日本国憲法前文で,平和維持に努めている国際社会において,日本は「名誉ある地位」を占めたいと宣言している。日本がどのような理念を維持しているか対外的に表明していくことが重要である。

このような事態が日本で生じることを想定した議論において,ウクライナ侵攻直後から,憲法9条をめぐる議論がされるようになり,核共有も取り沙汰されている。しかし,これは手段や戦略の問題で,同時に重要なのは,なにを守るべきかという目標についての議論である。日本国憲法に規定する,民主政と尊厳を守るべき目標に加えるべきか,ウクライナ情勢がわれわれに重い問を突き付けている。

以上が松尾さんの指摘である。

国を守るということを,軍備や戦時体制の問題に還元して論じるべきではないと思う。戦後われわれが培ってきた平和と民主政という価値を,いかに守り,それを世界に主張して行くことが,問われているとわたしは考える。

 

STOP WAR!

 

コメント (4)
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