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羽花山人日記

徒然なるままに

同期の桜

2021-03-24 17:24:37 | 日記

茨城大学農学部の門を入ったすぐわきに,桜の老木が立っている。わたしが現役のころは絢爛たる開花を見せて,この木の下で学生たちが花見の宴を開いていたが,あれから20年,やはり衰えは争えないようである。

このキャンパスは霞ヶ浦航空隊の跡地で,多分この老木はその頃の生き残りであろう。なんとなく「同期の桜」という言葉が頭をよぎる。

戦前戦中,特に昭和10年代以降,桜,中でもソメイヨシノは,その咲き方と散り方をいさぎよしとして,軍歌に歌われ,軍国主義の象徴のように扱われてきた。しかし,それはあくまでも人の思い込みであって,ソメイヨシノにしてみれば迷惑の話ではなかったろうか。

ソメイヨシノは江戸時代末期,エドヒガンとオオシマザクラの交雑から生まれた一本の木のクローンとして繁殖した。育てやすさと開花の斉一さが好まれ,江戸から各地に広まっていった。しかし,単品種植えのソメイヨシノの群落や並木が各地に形成され,桜の「名所」がつくられたのは,圧倒的に戦後のことだったとのことである。とすれば,ソメイヨシノはむしろ平和の象徴といってもいいのではなかろうか。

コメント (3)
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