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羽花山人日記

徒然なるままに

フロントランナー

2021-03-13 17:19:57 | 日記

今日の朝日新聞beのフロントランナーとして,中田英寿さんが取り上げられていた。この孤高のサッカー選手は,2006年のW杯ドイツ大会を最後として,グランドから姿を消したが,昨年東京国立近代美術館美術工芸館の名誉館長に就任し,日本の伝統的産業製品,特に日本酒の国際的な普及に向けて活動している。

彼は引退後世界を旅し,その過程で,スタジオとホテルの間を往復していただけの自分がいかに日本のことを知らなかったかに気づく。そして,日本に戻り,神社仏閣,日本の伝統的な工芸文化の現場を訪ね,その素晴らしさをあらためて知り,それが世界的にもっと知られるべきであると考える。そのために,伝統産業の製品を輸出することが重要であると考え,2015年に「Japan Craft Sake Company」を設立し,日本酒についての情報を包摂したスマホ用のアプリを開発するとともに,新型コロナによる蔵元の危機を打開すべく蔵元の協力を得て銘酒の通販を開始している。

ニュース番組などに出演し,毒にも薬にもならないコメントを並べる元アスリ-トたちを思い浮かべると,この記事を読んで,中田さんのことをすごく立派だと感じた。

私事ではあるが,中田英寿さんで思い出すことが一つある。

2003年にローマを旅行した時,ホテルでタクシーを拾い,片言の英語を話す運転手さんに「ベネツィア宮殿の写真を撮りたいので,そこでいったん停車し,その後パンテオン宮殿まで行って欲しい。」と頼んだところ,何とか理解してもらうことができた。車の中で,運転手さんは,われわれが日本人であることを確かめると,「ナカータ,ナカータ」と語りかけてきた。イタリアのサッカーリーグで活躍中の中田選手のことを思い出し,「彼のことは知っている。日本人はみんな誇りに思っているよ。」といったところ,彼は大喜びで親指を突き上げてうなずいた。ところが,ベネツィア宮殿の前に来ても車を止めないので,もしかして話が通じていなかったと思い,停車するように言ったところ,大丈夫という身振りで走り続けた。そしてある建物の前で,「パンテオン」と指さし,そこからUターンして,ベネツィア宮殿に戻った。その間メーターを立てていたので,走行距離は加算されていない。要するにパンテオンまでの道と歩いてもわずかだということを教えてくれたのだ。

中田選手そして親切な運転手さんにあらためてお礼申し上げたい。

ローマ,ベネツィア宮殿。2003年撮影

コメント (4)
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