はかせ社労士 ぼちぼちお仕事中!

社会保険や働き方にまつわる「よもやま話」をご紹介します。
(扱う法律の内容は概要です)

「労働者」じゃない働きかた(請負)

2009-11-08 | よもやまばなし働き方
 「縮む派遣 請負復権」(東京朝日(新潟)2009年11月4日2面)

 “派遣切り”なるブッソウなことばがささやかれ始めたのが去年の今ごろ。
それより少し前のキーワードが“偽装請負”。
いま「請負」という働き方が静かなブームなのだとか(?)。

 「請負」ってなんでしょう?
「請(こ)われて負(お)っている」んです(ってそのまんま?)
お仕事があるんだけど全部お願いしますよ、とアタマを下げられて、
よっしゃよっしゃ出来上がったら連絡するわ、ということです。

 お仕事をどうやって仕上げるかは仕事をするヒト次第。
そこには労働基準法の「指揮命令関係」はありません。
なので(労働基準法第9条の)「労働者」ではないことも。

 それってヒドイ?
いえいえ、頼む人がアタマを下げるぐらいですから、
頼まれる人のほうが本来エライんです。
お仕事のエリ好みだってできちゃうかも。

 だから働く人の最低限度を定めた労働基準法はつかわなくてもいいのでは。
頼まれる人はいわば一国一城の主(あるじ)。

 「請負」は本来誇り高いお仕事なんです。で、なんで今さら「請負」?

 まずは新聞のタイトルのように「派遣」が減ってきているから。
(今後法律が改正されると使えなくなるかも)

 そして「派遣」同様、使い方次第で安上がりにもなるから。
「請負」でアタマを下げるときに決める金額は全部コミコミ
労働基準法をつかわなくてもよいとなると、
労災保険や雇用保険のおカネを後で払う必要もありません。

 多くのヒトができる仕事の場合、
頼まれる人がエリ好みしていると、
頼む人は他へもっていっちゃうので即断即決、
金額は高くなるどころか安くなりがち
これは頼む人にとってアタマの下げがいがある?

 そんな頼まれる側の弱みにつけこんで仕事のやり方に口を出してしまうと、
もはや「請負」ではありません。
“偽装”になってしまうわけなんです。

 記事によると、そうならないようにするための工夫
(請負で働く人の工場内のエリアを分けたり、作業服の色を分けたり)
が進んでいるそうです。