はかせ社労士 ぼちぼちお仕事中!

社会保険や働き方にまつわる「よもやま話」をご紹介します。
(扱う法律の内容は概要です)

オレがホウリツだ?(減給制裁・割増賃金)

2009-10-28 | よもやまばなし働き方
 社労士会が開催したセミナーに行ってきました。
中小企業の方々向けに、会社のホウリツ「就業規則」の創り方について。

 「オレがホウリツだ!」では会社のやりくりが難しいこのご時世。
まだまだ駆け出しのスズキ“勤務”社労士 でして、雇われの身。
雇うとなると必要なことをそれなりに知っているだけに、
お話を聴きながら雇われのほうがラクかも」と思ったり、
こんなご時世だからこそ「オレがホウリツだ!」
といいたくもなる雇い人を想像してみたり。

 ヒトを雇うためにはお給料が必要なわけで、
払うからにはキッチリ働いてもらいたいもの。
いくらお給料が月ぎめだといっても、
まったく働かない時間があったらその分は差っぴくことができます。
ノーワーク・ノーペイの原則)

 では働いたとしても、会社のホウリツどおりに働かなかった場合は?
約束とちがうよ~、ということでお給料を減らすことができます
ただ「オレがホウリツだ!」と気の向くままに減らしてはいけません。

土日休んだ秘書を減給」(東京朝日(新潟)2009年10月26日31面)

 とある国会議員さん、
秘書さん(月20日勤務で月給20万円)が土日祝日に休むと
1回あたり2万円減らしていたそうです。

 ところが「就業規則」のよりどころ、
「労働基準法」では減らすことができるのは1日につき(平均賃金の)半額まで
1ヶ月で月給の10分の1まで
減給制裁:労働基準法第91条

 ということは、1ヶ月(この場合、2万円まで)で2回以上でアウト
それ以前に1回(この場合、1日5千円まで)で即アウト

 労働基準法は正真正銘のホウリツですから、
“オレ”も逆らうことはできません。
仮に「就業規則」に書いたとしてもダメなものはダメ。
就業規則じたい、労働基準法をクリアすることが
ホウリツとして求められているからです。

 この国会議員さん、月に20日以上働いたときのごほうび
(1日につき1万円)も忘れていませんでした。エライ!
 ただこれもアウトだったそうです。
「労働基準法」では時間外で通常のお給料に+25%
休日だと+35%しなければならないのですが(割増賃金:労働基準法第37条
秘書さんの場合は(おそらく働いた時間数からして)足りなかったそうです。残念!

 なんだかとっても勉強になる出来事ですが、
国会議員さんといえども、ホウリツはちゃんと国会で創ってから
正しくつかわなければいけませんね。
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治す(介護保険の特定疾病/健康保険の訪問看護)

2009-10-21 | よもやまばなし社会保険
 プロフィールにもありますように、
スズキは社会福祉の学校で教員をしながらボチボチ社労士してます。

 社会福祉に“造詣が深い”わけではないのですが
(こんなこと書くとオコラレます)、
社労士の知識は社会福祉に大いに役立つはず。

 例えば介護保険
ただ社労士のお仕事で介護保険を扱ってるヒト、
残念ながらスズキは知りません。

 制度自体が新しいこと(誕生は2000年)、
その前からプロフェッショナルが介護のお仕事をしており、
手続きでもこれらの方々
(ソーシャルワーカーと呼ばれる社会福祉士介護福祉士
 とくに介護保険のアドバイスについてはケアマネージャーなど)
がかかわることが多いことなどが、その理由なのでしょうか。

 介護保険社労士の扱う法律のひとつですが、
「社会保険に関する一般常識」
という大きな括(くく)りでしか勉強してないので、
これらの方々にはとても太刀(たち)打ちできません。

 それでも基本的なことに関連する知識はそれなりに。
介護保険を払うのは40歳から(第2号被保険者)、
使うのは65歳から(第1号被保険者)、
でも40歳から使えることも。

 「介護保険 末期で40歳から」(東京朝日(新潟) 2009年10月20日19面)

 介護保険はお年寄りの介護をミンナで支えるためにできた制度。
ですので、トシを取ることで体が不自由になる場合(特定疾病)は
保険料を払ってる40歳以上なら使うことが、もともとできました。

 これに必ずしもトシを取らなくても患(わずら)うことがある
がん(末期)が加わったんです(2006年から)。

 記事には「訪問看護」のことも書いてあります。
こっちは病気を治すための健康保険

 住みなれた我が家で穏(おだ)やかにすごすため、
“病気としての”がんを治すのではなく、
“不安な生活を”治すための社会保険、と考えればよいのでしょう。
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年金の「今」(基礎年金の国庫負担と賦課方式)

2009-10-18 | よもやまばなし社会保険
 国民年金は将来の、そして「」の自分にとってもおトクなもの。
えっ?消えるだの宙に浮くだの、魔法みたいなことがいわれてるのに?

 自分で払っている保険料にみあう分を、クニも面倒みています。
国庫負担は今年から3分の1から2分の1へ引き上げ
もらう金額は今払っている今の価値ではなく

・もらう時に保険料を払っているヒトの数
・もらうヒトの長生きの度合い

なんかを眺めながら、もらう時の価値に換算しなおします。
マクロ経済スライド

 もらう時に「保険料を払っているヒトの数」がどうして考慮される?
年金は保険料を払うヒトの“積立”じゃないの??
いえいえ、そうじゃないんです。
今払っている保険料は、今もらっているヒトの年金に使われてるんです。
“賦課(ふか)”方式

 それだとなんだか払い損?
いえいえ、もしそうしなかったら、
お金の価値が変わった分をひとりひとりで面倒みることになっちゃいます。
今のひとりひとりのオサイフがパンクしちゃうようなこと、だれがすすんでします?
将来の自分の生活も不安だらけになっちゃいます・・・。

 だからこそ、「」の年金の姿をはっきりさせる必要があるのでしょう。
クニは社労士の力も借りながら、手元の年金の記録すべてを急ぎ確認するそうです
(「年金全件照合4年で」 東京朝日(新潟)2009年10月12日1面)。

 自分の分の記録は「年金通帳」で「」確認できるようにすることも検討中。
(「年金記録ATMで確認」 東京朝日(新潟)2009年10月11日2面)

 賦課方式とはいえ、もらう権利は保険料を払って自分で創っていくもの。
」もらってるヒトのためにもなってる自分のもらう権利は、
」確認できたら安心ですよね。

 国民年金の2分の1は税金。
なのでこの10月から、「」もらってるヒトの年金から住民税が天引きされるのも、
」の税金の制度をシッカリさせるためにはわからなくもない?
(「年金から住民税天引き」 東京朝日(新潟)10月14日35面)
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働きかた(介護未経験者確保等助成金/緊急人材育成・就職支援事業)

2009-10-14 | よもやまばなし働き方
 「建設業者の転職支援 緊急対策 介護雇用を拡充
(東京朝日(新潟)2009年10月9日1面)

 今から30年以上前、雇用保険は “失業” 保険とよばれてました。

 時はオイルショック、右肩上がりの高度経済成長もストップ。
勤め人だけでなく雇い人をサポートすることも失業対策では大切、
と考えられるようになったことから、失業保険は “雇用” 保険にリニューアル
雇用安定事業
 ~たとえば今回の「介護未経験者確保等助成金」①など)

 そして今、雇用保険は雇い人が雇だけではなく、
勤め人が雇われるチカラを持つこともバックアップするものへ
と進化してきています。
教育訓練給付
  今回の「緊急人材(医療、介護・福祉等)育成・就職支援事業」②など)

 モノはつくるだけではなくヒトが生かしてナンボ。
そんなモノづくりのキホンがあらためて見直されるようになってきたのでしょうか?

 記事にある「建設」と「介護」の組み合わせ、
ちょっと今風(?)すぎてミエミエのところもありますが、
勤め人にとっての充実した働き方を考え直すきっかけにはなれば。

 ちなみに社労士は、雇用保険のほかに、
この二つの働き方にかんする法律の手続きもお仕事としてあつかっています
建設労働者の雇用の改善等に関する法律 
 /介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律

 名前のとおり、“(社会)保険” と “労務”の橋渡し役です。
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皆(みんな)?(保険外併用療養費)

2009-10-11 | よもやまばなし社会保険
 日本は国民保険。
ですが、お医者さんへ行けば必ず保険が利くわけではありません
美容整形や出産(正常分娩)は
病気やケガじゃないから利かないはこれまでみたとおり。

 病気やケガでも利かないことも。
保険の“決まりごと”以外の方法で治す場合がそれ。
ゼイタクな材料(たとえば金歯)や環境(たとえば特別な個室)、
効き目がハッキリわからないクスリ(未承認薬)、
技術がカッチリしてない機器や方法の手術、といったようなものは×

 でもよくある治療の延長線上だったり(選定療養)、
みんなが使うようになりつつあるもの(評価療養)は
それら上乗せ部分だけ保険が利かず、
そこにいたる部分は保険が利く仕組みもあります。
保険外併用療養費

 ただこれにはイロイロな意見が。

 保険外併用療養費といえど保険の決まりごと、
目の前によい治療があっても、
その決まりごとから外れてしまえば
やはりぜ~んぶ自腹になってしまうのは不公平じゃない?

 いやいやなんでもかんでも認めると、
オプションが増えて普通の医療費までバカ高くなる、
お金のないヒトが満足な治療を受けられなくかもしれないし、
高いわりにアヤシイ治療が横行するかも、
そんなことしてたら保険のお財布そのものがパンクする、などなど。

 保険が使える部分と使えない部分をあわせるやり方を「混合診療」と言いますが、
保険外併用療養費はその例外。
保険制度すべてで「混合診療」を認めるよう求めた裁判でも、
保険外併用療養費以外のやりかたは認めないという判決が出ています。
混合診療「禁止は適法」 東京朝日(新潟)2009年9月30日38面)
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ゆたかさとまずしさ(児童手当と最低賃金)

2009-10-07 | よもやまばなし働き方
 「子ども貧困率調査へ」という新聞記事。
(東京朝日(新潟) 2009年10月6日4面)

 日本のことを「先進国」なんて平気でいったりしますが、
あやしいですね、この“センシン”というコトバ。
コドモが世の中のしくみを自ら創る機会はなかなかなく、
つねに後回しにされてきた結果なのでしょうか、
“センシン”と胸を張ることはとてもできませんね。

 となると、コドモの貧しさはオトナの貧しさの証(あかし)でもあるということ。
「子ども手当」の原型、児童手当は当のコドモではなく保護者に支払われるものですが、
保護者たるオトナの生活がちゃんと成り立たなければコドモはついていけません。

 この10月から全国各地で最低賃金引き上げられました。
(全国平均で713円
これに先立って7月には法律も変わり、守らなかった場合の罰金も大幅に引き上げ
(2万円→50万円)。

 裏返すとこれまでチャンと守られていないってことですよね。
表向き守られているようでも、サービス残業を考慮したら最低賃金割れなんてことも。

 守られていても、求人の条件がこの最低賃金と同額、というところも多いようです。
 「最低賃金で生活できるか」という、
どこかのバラエティ番組のようなことにチャレンジするヒトもいるようですが、
(「時給701円 忍耐の日々 最低賃金で1か月生活
  名古屋朝日(三重)2009年3月30日27面)
そんなチャレンジで身をもって示さなければならないほど最低賃金も“貧しい”わけです。

 「最低賃金引き上げのしわ寄せは中小企業に向かうだけ」という声も聞かれますが、
ならば児童手当とおんなじように、中小企業以外からの支えも必要ということ。

 「人たるに値する」生活ははたらくヒトすべてにあてはまるはずですし、
そんなオトナに育てられるコドモがゆたかになるチカラにもなるはずです。
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雇われかた(雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金)

2009-10-04 | よもやまばなし働き方
 今年の8月の有効求人倍率が0.42倍発表されました
2年ぐらい前はようやく1(仕事を求めるヒト1人に仕事が1つ)にとどくか、
といわれてたのにどうしてどうして?

 ところが「仕事くれ!」ってヒトが街中にあふれてる、
なんてことはないですね。これまたどうしてどうして?

 ひとつは今や、雇われかたがイロイロあるため。
正社員でない雇われかたが、今や全体の3分の1
有効求人倍率は職安(ハローワーク)で扱う仕事の数で調べるので、
バイトや日雇いなど、職安で扱わないものもいっぱいあるわけです。

 ただ扱われないもののなかには、
働けど働けど貯まらない「ワーキングプア」や、
カラダを削って寝床を転々とする「ハウジングプア
といった雇われかたを強いられているヒトもいるわけで、
雇われてるならいいじゃない、というわけにもいきません。

 もうひとつ、すでに雇われているヒトをクニが支えているため。
仕事がなくても払わなければならない休業手当
新しい仕事ができるように訓練する費用をクニは準備しています。
(「雇用調整助成金」など)

 社労士のお仕事としてこのところ急増しているのが
中小企業緊急雇用安定助成金中安金)」の申請手続き
大企業とちがって、仕事がなくても人手の足りない中小企業の支えに社労士もお手伝い。

 「職業選択の自由」はあっても、勤め人が選択肢を自由つくることはなかなか。
その選択肢も「人たるに値する生活」になるものじゃなきゃいけないわけで、
なんでもかんでも自由だと、自分で自分のクビを締める(斬る?)ことにも。

 働きかたとともに雇われかたも、もう一度見直してみませんか?
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オメデタイはなし(出産育児一時金)

2009-10-01 | よもやまばなし社会保険
 ようやく社労士に登録したスズキがおおくりする、
社会保険と働きかたのよもやま話をどうぞ…。
~~~

 右肩 “下がり” のよのなか、でもオメデタイ話題から。

 2009年10月より、オメデタのときに健康保険から支払われる
出産育児一時金」が4万円アップ!(38万円→42万円)
このうち3万円は、お産で万が一のことがあったときのためのお金。
産科医療補償制度

 ですから実質は39(サンキュー?)万円。
ちなみにお産は病気やケガではないので、保険(療養の給付)は効きません
だから“美容整形”なんかとおんなじ全額負担。
だいたい30~40万円だそうです!!
でもアカチャンもいずれは健康保険を支える一員になるわけだから、
別枠でのサポートもナットクですね。

 またこのお金は掛かった費用分、お医者さんへ直接支払われます。
半年間は手続きが必要な場合アリ)。
身重のカアチャン、手続きがラクで大助かり!!!

 昨年度の合計特殊出生率
(女性が15歳~49歳まで産めるとして一生涯に産むこどもの数の平均)
は1.37と、一昨年より0.3ポイントアップ!!!!

 よのなかとともに、さらに右肩 “上がり” を!!!!!
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