はかせ社労士 ぼちぼちお仕事中!

社会保険や働き方にまつわる「よもやま話」をご紹介します。
(扱う法律の内容は概要です)

公平なモノサシ(中央社会保険医療協議会など)

2010-02-28 | よもやまばなし社会保険
(続き)

 保険はミンナの支えあい。
今使わないヒトでも保険料を払います。
だから“”(←ここでは“ミンナ”と読みましょう!)保険。

 介護保険では保険料以外の財源のやり繰りで
当面の保険料アップを抑えているようですが、
(「介護保険料月額4160円 09~11年度分全国平均1.7%増
                  東京朝日(新潟)2009年4月24日7面)

健康保険(特に協会けんぽ)は今でもオサイフが苦しい

保険料率 全国で上昇 協会けんぽ、4月から
(東京朝日(新潟)2010年1月28日7面)

 こちらも借金返済を先延ばししたり、他の保険者から助けてもらったりで、
それでもなんとかアップを抑えるもよう。でも、いつまでも使える手ではありません

 料金のなかみのチェックをミンナができるようになることが大切。
すでに紹介した「明細書」の原則無料化もそのひとつ。
料金を払うヒト、もらうヒト、見極めるヒトの3者で
診療報酬を決める集まり(中央社会保険医療協議会)の動きが
ミンナの“縮図”になることも必要。
(ニュースがわからん!「医者にかかる料金、どう決めるの?
                東京朝日(新潟)2010年2月13日2面)

 保険料の値段、保険料率を決めるのは、ミンナの代表、国会のお仕事。
ミンナの皆保険、あるヒトだけトクすることのないよう
公平なモノサシがやはり必要です。
※雑誌『週刊社会保障』No.2568,28-29頁
 「時事評論 組合方式における公平と連帯」参照

 冒頭の社労士のみができるお仕事、もちろん大切なお仕事ですが、
この公平なモノサシをどこにどう当てるのか、悩ましいところです。

公平なモノサシ(診療報酬改定)

2010-02-25 | よもやまばなし社会保険
 ここのところ、社労士の勉強会が続いています。

 先日のものは、例えば健保組合への加入提案、
といった「営業」に踏みこんだ内容。
健保組合の多くは協会けんぽと比べて
保険料(←カイシャも半分負担)が安い
が加入手続きが煩雑(はんざつ)、でも煩雑だからこそ社労士の出番!

 手続をとして行えるのは社労士のみ1号業務)。
アドバイスだけならだれでもできます3号業務)が、それおろそかにせず、
そこから社労士だからこそできる提案を!まだまだ修行が足りませぬ。

診療報酬 10年ぶり増額
(東京朝日(新潟)2010年2月13日1面)

 ここ数年押さえられ気味だった
お医者さんにかかる料金(診療報酬)を全体的にアップ
特に病院のお医者さんの分をアップするというのが記事の内容。

 “医療崩壊”が叫ばれるなかでは改善といえますが、
診療報酬は健康保険の仕組みのハナシ。
仕組みの「なか」にはお医者さんだけでなく
患者さんや、保険料を払うヒト(被保険者やカイシャ)もいることもお忘れなく。

 料金の原則3割は自己負担。
なので、全体がアップすれば、自己負担もアップします。

 似たようなハナシ、実は去年の春にありました。

介護利用 値上げじわり 事業者報酬3%引き上げで
(東京朝日(新潟)2009年5月6日23面)

 こちらは原則1割負担の介護保険
低賃金で人材不足が叫ばれる介護の世界。
一見すると喜ばしいことでも、料金を払うヒトがいて成りたつハナシ。
記事のよると、サービス利用の回数が減らされたり
(それは料金を払うヒトにとってもツライこと)、
事業者のほうからサービスを削ってこれまでの料金を据えおく
(まさに身を削る思い)といった動きもあったそうです。

(続く) 

お医者さんの明細(レセプトの電子化)

2010-02-14 | よもやまばなし社会保険
(続き)

 この明細、発行は現在は希望制なのですが、
クニとしてはこれをすべての病院に広めたいところ。
診療の中身を患者さんにもチェックしてもらうことで、
医療費のムダを減らすのが狙い。

 まずは病院が保険をしているトコロ(保険者)に対して
医療費を請求する紙(レセプト)を
コンピュータ(レセコン)上でつくっている電子化)ところは
必ず患者さんにも明細を渡すようにする、というのが先にご紹介した記事。

 電子化することで、患者さんからも保険者からも、
二重のチェックができるようになるわけです。
電子化しているなら発行の手間もかからないはず、
わざわざチェックしてもらうわけだし、患者さんの負担はゼロ無料化)で、
というのが先にご紹介した記事の中身。

 このレセプトの電子化、
ジツはあの「仕分け」で全面実施が見送りになってしまってます。

もっと知りたい レセプト電子化費見送り
(東京朝日(新潟)2009年11月19日35面)

 なので電子化してないところでは明細でおカネを取ることも認めるもよう。
小さい診療所では電子化におカネがかかりすぎでムズカシイ、
というのがその理由のようですが、
なんだかボタンの掛け違いのような気も。

 ミンナの健康保険(国民皆保険)ミンナで医療費を見直すなら、
ミンナが情報を共有できるようにおカネ(税金)を使うのが先決では?
ならばということで、構想中の保険証や年金手帳がひとつになったカード
社会保障カード:「ニュースがわからん!社会保障カードってどんなもの?
 大阪朝日2007年8月31日2面)

をつかって、病院が明細を作らなくても
ネットなどでひとりで確認できる仕組みを創ろうといった案も。
(先の「もっと知りたい」の記事)

 これに社労士がかかわることのできない
税金の情報もいっしょにする案もあります。
納税者番号 来年提出へ 社会保障と共通化
(東京朝日(新潟)2010年2月1日1面)

 ただ「住基カード」同様、
個人情報満載のカードに不安を感じるヒトも少なくありません。

 あらためて国民保険・年金、
医療費全体を減らしたい情報のモトジメ(クニ)だけではなく
ひとりひとりにわかる仕組みをつくりたいものです。

お医者さんの明細(医療費明細無料化)

2010-02-13 | よもやまばなし社会保険
 先日、ショクバの経理課から電話がありました。

「住民票は新潟に移してますか?」

新潟暮らしもまもなく1年。なので??だったのですが、もちろん理由が。

 この時期「経理課」からということでピンときた方もいらっしゃるでしょうが、
住民税の支払先の確認だったわけです。
住民税は年度ではなく“年”単位。なので昨年12月までは、
すでに住んでもいない兵庫県にスズキは支払っていました。

 そして1月、名実ともに新潟県(市)の「出資」者(?)になったわけです。
このこと、社労士は税金を扱うことはできませんが、
社会保険料の控除など「給与計算」の知識としては当然知っておくべきこと。

 同じ税金関連でこの時期の恒例行事は「確定申告」。
勤め人では“還付”申告が身近なところ。
そのなかでも医療費控除の手続をするヒトはケッコウ多いのでは?

レセプト電子請求の医療機関 医療費明細の無料発行 義務
(東京朝日(新潟)2010年2月4日5面)

 年間10万円(原則)を超えると対象になる医療費控除。
このときの証明書類として必要なのが病院の領収証など。
薬局で買った薬のレシートもOKが場合もあるので、
この時期一生懸命集めているヒトもいるのでは?
介護保険の場合でも
介護保険も税控除あり」(東京朝日(新潟)2010年2月13日29面)

 この領収証、これまでは実際の支払い金額(多くは全体の3割
のみを記載したものが多かったのですが、
今やコンビニなどでも一品一品金額が記載される時代、
病院だけドンブリ勘定というのはいかがなもの?

 というわけで、明細(初診料や検査、投薬など項目ごとに)
が書かれるようになってきています。
ただし実際の支払い金額ではなく、
点数(診療報酬)で書かれるので、これがジツに読みとりニクイ。

 1点は10円(健康保険や介護保険の場合)でしかも実際の点数。
なので実際の支払い(金額)はその3割(原則)となります。
(例:初診料270点=2700円 
   で領収証上の金額はその3割:2700円×3割=810円)
(続く)

勉強もお仕事(外国人研修・技能実習制度)

2010-02-06 | よもやまばなし働き方
 ホウリツの世界では「労働者」にはイロイロあります。

 多くの場合、お給料(賃金)をもらっているヒトが「労働者」なのですが、
お店をやってるヒト(個人事業主)やそのご家族ではたらいてるヒト(同居の親族)、
お手伝いさん(家事使用人)や社長さん(法人の代表取締役)は
「労働者」と見なされない場合も(労災保険、雇用保険など)
「労働者」じゃない働きかた(請負)も参照

 「労働組合法」のように、
お給料をもらっていない失業しているヒトもふくめる場合もあります。

中国人実習生に「過酷労働」仲介機関へ賠償命令 熊本地裁
(東京朝日(新潟)2010年1月30日36面)

 記事では「実習生」とひとまとめしてますが、
実際には「研修生」と「技能実習生」にわかれます
「研修生」は日本でお仕事につながる技術を身につけるために
“勉強”するヒトたちのこと。いわば“留学生”。

 もし不法滞在であっても
お給料をもらっていれば「労働者」になるのが原則ですが、
「研修生」は“学ぶこと”がメイン。
おカネをもらったしてもそれはお給料(=労働の対償)ではない、ということです。

 ただお仕事は、実際にできなければ身につける意味はないので、
それを確かめる段階になることも。
これが「技能実習生」(「研修生」になってからおおよそ1年後ぐらい)。
 「技能実習生」は“働くこと”がメイン。
なのでもらうおカネは立派なお給料です。
こうなると、雇いヒトはキッチリ支払わなければなりません。

 記事では、「研修生」のときにも残業させられるなど
普通の労働とかわらなかったので、
この期間も含めて「労働者」と認めたとのこと。
「不法」であっても「労働者」となりえるという考え方はすでにあるわけで、
現場とともに「実習」を紹介した団体も違法、という内容の判決です。

 ムリやり「働かせる」(強制労働)のはもちろん禁止ですし、
最初から働くヒトを送りこむための行為(労働者供給事業)も禁止です。

 これはドコのヒトだろうと同じこと。
働きかたは「人たるに値する」ものであること、
国籍、信条、社会的身分」で差別されてはならないこと、
アタリマエと思っていることが、身近なところで?になっていないか、
もう一度確認したいもの。

 外国人労働者については今年入管法の改正も予定されていますが、
「労働者」であってもなくても、ヒトはヒトです。