スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

天才とはこの人のこと

2012-09-05 18:07:15 | Weblog
この間、文庫で出ていた
経済ってそういうことだったのか会議
を買いました。

もう10年以上前に出た本で
発売当初にハードカバーの本を
一冊買っていたのですが
どこかへ行ってしまって・・・。

本屋で見つけてまた読みたくなり
もう一度買ってしまいました。

この本は
経済に関しては素人である佐藤雅彦氏が
経済の専門家の竹中平蔵氏に
素朴ですが非常に鋭い質問をし

それを竹中氏が分かりやすく説明するという
読んでいてとても楽しい本です。


佐藤氏の少年時代のエピソードが
本の最初に登場します。

佐藤氏は小学生の頃
牛乳瓶のふたを集めていたら
クラスのみんなが真似して集め出し
学校中で流行することになります。

古いふた何枚かと新しいふたを
交換したりとか

珍しいふたは価値が出たりとか

たかが牛乳のふたなのに
みんなの意識の中で
「牛乳のふたには価値がある」という
信頼関係ができた結果
ブームが過熱していきます。

ある日
知り合いに牛乳屋さんがいる子が
袋一杯の
牛乳瓶のふたを持ってきてから

みんなの牛乳瓶のふた熱が
次第に覚めていき
誰も集めなくなってしまいます。

最終的に牛乳のふたの価値が暴落し
ただの牛乳のふたになってしまいました。

このエピソードを導入として
経済の素人と専門家の間の
対話が始まっていくという部分が
特に素晴らしいなー、と感じました。



この本に登場する佐藤氏は

静岡県出身で東大卒業後
電通に入社し

CM制作の仕事で
数多くの評価を得ました。
(CMをやめてからも「だんご三兄弟」や
「ピタゴラスイッチ」など大活躍です)

「バザールでござーる」
「コイケヤのスコーン」
など、思わず見てしまう
素晴らしいCMをたくさん
作っていました。

佐藤氏が部署の異動希望を出し
CM制作を始めたのは
30歳を過ぎてからと結構遅く
最初は仕事が全然なかったそうです。

ただ、暇な時間を使って
過去のいろいろなCMを見て
気になったCMをピックアップし
なぜ気になったのかを検証し
CM制作の法則を独自に確立しました。

例えば
「ドキュメントリップシンクロ」。

これは
CMをスタジオで撮影せず
ドキュメント風で撮影し

CMのキャッチコピーはナレーションではなく
人の口から直接発せられた方が
効果的に伝えることができるというものです。

その他
「濁音」も言葉としての強さがあるので
意識的に使っていたようです。

「バザールでござーる」などはその典型ですね。


私が佐藤氏のCMの中で一番好きなのが
コイケヤの「ジャガッツ」です。

このCMは

二人の主婦が
「コイケヤのジャガッツはこのギザギザがおいしい」
と話しているところから始まります。

すると横から
「この男です!」という刑事の声が聞こえます。

実は二人の主婦は刑事が犯人を見つけるために
見ていたビデオの中の人たちで
その主婦たちの後ろに小さく犯人と思われる
人物が映っていたのです。

刑事は
「もう一度見てみましょう」
といって

また
二人の主婦が
「コイケヤのジャガッツはこのギザギザがおいしい」
と言っている場面が繰り返されます。


本来は
ビデオに映っている二人の主婦は
完全に脇役で

刑事とビデオに小さく映っている犯人が
主役なのですが

結果としてCMを見ている人は
「コイケヤのジャガッツはこのギザギザがおいしい」
という発言を何回も聞くことになるわけです。


佐藤雅彦全仕事(マドラ出版)」によると

依頼主のコイケヤから、CM制作にあたり
「コイケヤのジャガッツはこのギザギザがおいしい」
という特徴を入れてほしいという要望があり

何度かつぶやいていたら
突然佐藤氏の頭の中で「この男です」という
声が聞こえ

どういうことか頭の中を巻き戻して
もう一度考えた結果、
このCMの構成が出来上がったそうです。


あと、若いころに
まだ流行する前で売れ残っていたルービックキューブを
何となく買うことになり
カシャカシャいじっていたら
突然頭に6面揃える方法のイメージが
ひらめいたそうで
10分で解いてしまったようです。


天才というのはこういう人のことを
言うんですね。




税理士 名古屋/名古屋の税理士法人スプラウト