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浸りたくなる人

2016年09月02日 | 雑記帳
 時々、無性に浸りたくなる「早川義夫」。

 この夏は『I LOVE HONZI』というライブアルバムを聴き、『生きがいは愛し合うことだけ』(ちくま文庫)を読んだ。

 書店の主人を長くしていた早川が、どんな本を読むのか興味があった。
 文庫本には読書メモのような章があり、感想めいたことも記されていた。
 新書や文章読本のようなジャンルを結構読んでいることが意外だった。
 何冊か、自分も読んでいる本があり、嬉しいような、怖いような…。

 いずれ、歌であっても書物であっても、この人が語ることは「我」という存在についてである。
 価値は個の内部にしかない。
 それは他を認めないことではなく、受けとめる感性のなかにしか価値は生まれないということだ。
 ゆえに他者に「愛」を求めるし、その気持ちに正直なまま接することを何よりの芯として振舞っているように見える。

 彼の内部に磁力があるように、惹きつけられているミュージシャンも多い。
 そのミュージシャンらもとても魅力的だ。
 ともに夭逝した、佐久間正英とHONZI。早川にとっては大切な存在だった。



 そのメンバーで演奏したライブアルバムには10曲収められていて、そのうち唯一、自作品でないものが取り上げられている。
 『僕らはひとり』という曲だ。

 自作でなくとも取り上げた唯一の作品ということは、そこで歌われている世界が、それほど早川にぴったりとくるのだろう。

 その歌のサビは、こうだ。
 シンプルさ、歌声の切なさ…秋の夜更けに聴くと、正直泣けてくる。

 ♪笑っても、泣いても 僕らはひとり
  話はないけど 一緒にいたいよ♪