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新しい風景を面白がる力

2014年10月08日 | 雑記帳
 高齢になっても元気な先輩とはまだまだいると改めて思った。研修会で「各駅停車と行き止まり駅と教育雑感」というお話を聞いた。教員退職後に、全国各地を車や列車などで回った体験が語られた。珍しい駅名や行き止まり駅…そのほとんどを自分の足で実際に出向いて確かめている。まずその行動力に脱帽である。


 最寄の駅(奥羽線の湯沢)を朝5時58分に発てば、新宿に夕方6時半頃着くという。一杯やって泊り、ゆっくりと9時頃に新宿を発てば夜の9時21分に湯沢駅に戻るという。各駅停車を利用したその一泊二日の旅を薦める発想とはどういうものか。その時間を楽しめる余裕とはどこから生まれるか、考えてしまう。


 北海道や中部地方にある多くの駅が紹介された。絵の堪能な方で、駅のスケッチをもとにここ数年私家版のカレンダーを作成し、知人に配っておられるのだという。実物も見せていただいた。その絵を大きな画面に映し一つ一つに解説を加え、「ほらほら、ここ面白いんですよ」と語る姿を拝見し、そうかあと気づく。


 「新しい風景を面白がる」…それは心の持ち方には違いない。しかし、齢を重ねても維持できるためには、何かしらの力を持っていることが必要な気がする。講師の場合は「絵」だと予想する。そこで培った技が基になって、いわば自分の表現のために、新しい風景を求めていくのではないか。推進源はそこではないか。


 列車が無理なら車でもいい、フェリーも利用しようと幅広く柔軟な考えで語られた。その精神は教育にも結び付く。鉄道の「スイッチバック」の例を挙げ、「やってみて駄目だったら、もどって準備してまた行く」と,新幹線なみの今の教育に警鐘を鳴らされ、締め括られた。新しい風景を面白がるために、である。