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桜と絵本と豆乳と

言葉のバックボーン

2013年02月12日 | 読書
 新刊ではないが、ちょっとした必要を感じて二冊の教育関連書を読む。

 『親が伸びれば子は伸びる』(陰山英男 朝日文庫)

 久しぶりの陰山本である。そもそもは『家庭力』と題された単行本ということである。
 内容としては、子どもの学力に直接関わることはもちろん、なんと家庭における「経済的な車の選び方」までと範囲が広い。いわば「親の生き方を示す重要性」に踏み込んでいると言っていいのかもしれない。

 だから、変な話だがこの著で一番興味深かったのはわずか10ページ足らずの「文庫版のためのまえがき」だった。ここには著者自身の子育ての苦闘のエピソードが書かれてある。
 一躍有名になった状況で湧き上がってきた家族の問題への対応も含めて、「親子戦争は何度も起きました」と書いた著者は、自分が著した内容に正対しようという誠実さを抱えて、その時期をくぐり抜けたのだと思った。
 ありがちだが、この一文は重く感じた。

 子どもの心の奥底に届く言葉は、その時期のその子にふさわしい言葉でなければいけません。


 『こんな時どう言い返す~ユーモアあふれる担任の言葉~』(池田修 学事出版)

 主として中学生が対象の場面設定となるが、さすがに様子が想像される描写が十分であって、読んでいて楽しい。
 まさに「大人の階段」を上る者への声かけの技が、凝縮されている。
 基本は「大人」としての対応であるが、場面によって「同類」「同胞」的な要素を織り交ぜるので、生徒に安心感、信頼感が芽生えていくのだと思う。

 もちろん、同じ言葉だから同じ有効性を持つはずと読者の多くは思わないだろう。
 ではどういう点を読み取るか。いわゆる生徒理解の深さを求め、自分の大人としての成熟度を高めようとすることだろうか。

 例えば、この文章一つであっても、意味を飲み込み行動にしっかり移すためには、少なくない時間を要する。

 もう一つ叱ることに関してやっておきたいことは、生徒に叱られる場面を作ることである。