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辞書指導はどこから…

2008年12月15日 | 読書
 『なぜ辞書を引かせると子どもは伸びるか』(深谷圭助著  宝島社)を読んでいたら、この部分が少し気になった。

 学習指導要領上、辞書指導は、1948年の学習指導要領試案で最初に登場し、1951年の指導要領試案で4年生から指導する旨が記載されるようになりました。これは、輿水実という国語教育学者がアメリカの国語カリキュラムをモデルにしたもので、アメリカの辞書指導が4年生になっていたのを写したにすぎません。

 アメリカの辞書指導のことが48年段階でどの程度わが国に伝わっていたのか、そのあたりのところが興味深く思えたのだが、少し調べたら肝心のそれは未解決ながら、他に面白いことがあった。

 まず深谷氏がいうところの、指導要領上に辞書指導が4年に明示されたのは、48年51年ではない。そこでは5年生のところで出てきていて、4年生になるのはなんと77年告示である。従ってそれまではずっと高学年という扱いのようだ。
 最初の試案に出てきたとき、「辞書を利用しましょう」という5年生の指導計画例が出されていて、ずいぶんと時代を感じた。
 例えば「目標」として、次のような文言がある。

 6 辞書の利用によって起こる興味を利用して、学習を自発的なものにし、学級あるいはグループ学習のために奉仕し、協力するようにする。

 個人学習としてのとらえとは少し違った意味合いを感ずる。
 「グループに一冊はほしい」という文や、簡易的な「作製」がずいぶん強調されているところにも時代状況を感ずる。どの程度教材として供給できていたのか、想像できない点もある。

 さて、図書関係教材の現在の状況は当時とあまりに違いすぎるし、その違いにそった指導がもっとあるべきだと思う。
 その意味では深谷氏の実践、提案には賛同する。ただ、辞書指導についてもう少し歴史を整理してみると、もっと指導事項が明確になってくるかもしれない。
 辞書指導とくに国語辞典については私も興味が高いところなので、改めてもう少し突きつめてみたい気がした。