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もう逃げ場はない、知恵を―原発災害

2011-07-24 22:18:00 | 社会
 牛肉の放射能汚染で騒いでいますけど。
 でも騒ぎかたが変ですよね。

 汚染牛肉さえ封じ込めたら、それで肉は安心だと、政府もマスコミもそんな言いかたしてるでしょう。
 けれど、それって、考えかたが逆ですよね。
 表にあらわれてくるのは、いつも氷山の一角。
 あれだけの牛肉から出るようだと、汚染はすでにはかりしれない規模で広がっている。
 そう考えるのがふつうでしょ?

 一億を超える国民が住む小さな列島の国ですよ。
 食材の流通速度はすごいものです。
 体のどこかが毒蛇に噛まれたら、猛スピードの血流に乗ってたちまち毒が全身に広がっていく、あれと同じことですね。
 一億の国民が毎日毎日胃に入れている食べ物と飲み物を全部検査するなんて、そんなことどだい不可能でしょう。
 検査の届かない圧倒的な領域で、もうぼくたち国民の全員が、せっせと放射能を摂取している。
 常識的に考えたら、そんなこと、なんなくわかることでしょう。

 放射能の拡散は気象条件によってとても流動的に動きます。
 ところが気象ほどわからないものもまたとない。
 地域ごとの微気象なんか、てんでわかっていないんです。
 無限に変容しますから。
 要するにカオス理論の世界です。

 無限は文学者には夢ですが、科学者には悪夢です。
 正確な方程式が作れない。
 政府や電力会社の発表するデータで、ぼくらの頭の中にはついなにか固定的なイメージがつくられますが、それはもうほとんど幻想です。
 自然はそんなおとなしいものではない。
 無限に暴力的で、無限に繊細。
 極大と極小の間をめまぐるしく揺れ動く。

 安全基準といったって、だいたいこうだろうというだけで、確実なことはわかっていない。
 ましてや個人個人では放射能の感受性も違いますから、ほんとうのところ影響はわからない。
 明らかになるのは30年後。
 個々人の肉体に異常が現われて、ようやく、ああ、これがあのときの原発災害のほんとうの結果なんだ、と。

 要するに、ぼくたちが、子供の世代や孫の世代に残す、これが最大のプレゼントだというわけです。
 
 これがぼくたちが今、現在進行形で共有している原発災害というものです。
 じっさいのところ、大騒ぎしてもぜんぶ手遅れ。
 もう逃げ場はありません。
 これがそうなんだと肝をすえて今後のエネルギー政策に取り組むほか、もう未来への道はないでしょう。
 国民全員が頭と心をクリアにして、知恵を働かすときなのです。

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