しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

宮崎みよし展

2006-10-22 20:01:46 | 美術
 宮崎みよし展に行ってきました。
 宮崎みよしさんは、神戸港の人工島にたくさんの現代美術家を集めて10年も野外展を開くなど、大きなアートイベントをリードしている女性作家です。彼女のことをぼくは密かに“神戸の卑弥呼”と呼んでいます。

 会場は、住吉川を東へ渡った国道2号線沿いのBarca (バルカ)という新しいギャラリーです。勢いのいいタッチで紙に描いたドローイングが中心でした。
 黒く塗りつぶした空間に白い球体がポッカリと浮かんでいる画にぼくはとりわけ心を打たれて、宇宙を漂流する惑星を想像しながら、心が広くなるのを感じました。

 なぜ黒い空間に球体なのですか、と尋ねると、みよしさんの答えはこうでした。
 「色彩の空間にしたら、その色にどんなメッセージがあるのかと思われるでしょう。円形でなく四角にしたら、四角は円よりいびつになりやすいので、そこにもどんな意図があるのだろうと考えさせてしまうことになるでしょう。私はいま、作家としての意図はできるだけ空にして、見る人の想像力を最大限に解き放ちたい、とそう思っているのです」
 作家としてのみよしさんは匿名性の中に隠れてしまって、創造の主体を見る人の方に全面的に譲りたいと、そのように考えているというわけです。

 そういえば、最前線で制作に携わっている美術家たちは、最近めっきりと「個性」などという言葉を口にしなくなりました。ひと昔前とはすっかり変わって、一作家の個性など何ほどのものか、と思っているような表情です。なにか、個人を超えた、大きな世界(宇宙)にコンタクトを取ろうとしているような趣きです。

Pino Eternaギター教室発表会@コンセール西宮

2006-10-22 00:02:08 | 音楽
クラシックギターの音色に諸行無常の響きを見るのは私だけじゃないだろう。
西ノ宮の住宅街に設けられた小さなホールは、情熱的な、しかし寂寥感を内包する音色に満たされた。
一戸建て住居を二階までの吹き抜けに改築したこじんまりとしたホールでは、緊張した奏者の呼吸までも聴衆の肌に伝わる。紅潮した頬を見ていると心臓の激しい鼓動まで聞こえかねない。
アンサンブルが3曲、ソロが10曲の2部構成。あぶなげなアルペジオ、ぎこちないビブラートに見ていてはらはらするものの、各部のトリを務めた新進若手奏者はさすがの風格。奇抜な曲のグリスタンド、コードを握る指が弦の上を滑る音さえ美しい。
最後は若手4人によるアンサンブル、L.ブローウェル作曲「キューバの風景とルンバ」。深い森の奥で滴り落ちる水滴や蛙の声、南国の鳥のけたたましい鳴き声、獣の走る音、さらには未開の部族の奇しい儀式をクラシックギターで再現する名(迷?)曲。
迷曲にクラシックギターの可能性の広さを、若手ギタリストたちに未来の明るさを見た。

てゆーかごめん、長くなった。