しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

藤田佳代舞踊研究所発表会

2006-10-28 23:34:56 | 舞踊
 今年が29回目になる藤田佳代舞踊研究所の発表会を見に神戸文化ホールへ行ってきました。わがシュプリッターエコーの編集委員のひとりが研究所のメンバーで、ぜひ彼女のダンスを見なければ、とこう思ったわけなのです。

 藤田佳代舞踊研究所は、モダンダンスでは神戸で最も大きなカンパニーで、発表会も出演者が150人にもなるという大イベント。プログラムはいつも創作の新作品で、今回は「室ノ内交差点をわたるとき子守唄が聞こえてきても眠っちゃいけないよ」そして「2006年1月1日8時59分60秒 オルフェウスとわたしは出会った 彼は竪琴を奏でながら妖精や人が花に変身するはなしをはじめた」の2本でした。

 さて、わが編集委員ダンサーは、最初の作品では中世ヨーロッパの修道僧が着ていたようなフード付きのガウンをまとって神秘な樹霊の群舞を踊り、二つ目の作品では裾を桜色に染めた白いドレスでまさしくサクラの花を舞ったのですが、舞台の上ではみんなもう世俗の人間ではなくなるのですねえ、ふだんの気さくな彼女はどこかへ消えて、神につかえる巫女のように神々しい輝きでした。

 まあ、そもそも振付をする藤田佳代先生が巫女のような人で、どうしてこんな美しい形が出てくるのかといつも驚かされるのですが、とりわけこの夜のサクラときたら、音楽はモーツァルトのピアノ協奏曲第21番のあの昼下がりのゆるやかな落花のようなアンダンテ(第2楽章)、そしてダンスは、リンと立つ和装のソリストの武道めいた簡潔な動きと、清楚なドレスの17人のエレガントな花弁の舞いという取り合わせ。まったく、霊感さえわたる天才の仕事なのでした。
コメント (2)
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