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稀代の錬金術師 パラケルスス

2008-05-25 | この人物がすごい!
錬金術とはより完全なものを求める技術のことです。
金属で完全なものは「金」
つまり完全な金属を生み出すための技術なので錬金術と呼ばれます。

この錬金術の技術を医学に使用しようと考えたのが
世界で最も有名な錬金術師、パラケルススです。


パラケルススは本名を「テオフラストゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム」といいます。
「鋼の錬金術師」のヴァン・ホーエンハイムのモデルでもあります。


医者の息子として生まれ、自らも医者としての道を歩みます。
もともと才能があったホーエンハイムは自らの技術に自信を持ち、
古代ローマの天才医学者「ケルスス」を越えたと考えます。
パラは超えるという意味で、パラケルススとはケルススを超えたという
ことになります。
パラケルススはそれほどまでに自分の能力に自信を持っていたのです。

医学部在学中に大学の権威主義を批判したり、何かと目をつけられていたようです。
その後、医学部を卒業した彼は各地を放浪し、様々な病気に向かいます。
様々な場所で伝えられる治療法を積極的に取り入れ、机の上だけでは
手に入れられない技術を数多く学びます。


そんな中で、梅毒やペストといった新興の病気に対して強く興味を持ちます。
と同時に、錬金術にも魅かれていくのです。
というのも、錬金術は「完全なる物を作る技術」です。
人間の病気は不完全な状態です。
つまり、病を治すことは人間を完全な状態にすることなので、
錬金術と医学は共通点があるということなのです。


難しいことは省きますが、
パラケルススが錬金術の考え方を応用して
梅毒に水銀化合物が効くということを発見しました。
(現在は水銀化合物の変わりに抗生物質が使われています。)
また、古くからの考え方にとらわれ、
停滞していたヨーロッパ医学を前進させたのも
権威に媚びず自らを信じていったパラケルススの功績なのです。

ただ、問題があったのは彼の性格です。
何者にも媚びないということは傲慢であり、
自らを信じることは自己中心ということです。

自分の考えと違うものを
「犬が後ろ足を上げるだけの価値も無い(小便をかけるほどの価値も無い)」
と罵倒し、
権威主義となっている医学会に見せ付けるように
広場でこれまでの医学書を燃やしたりしたのです。


こうして人々の反感を買ったパラケルススは
町を転々とし、48歳のとき謎の死を遂げます。
それは彼を快く思わない医師によるものであるとか、
酒を飲みすぎていたため肝臓を壊したからであるとか
諸説ありますが、はっきりとはわかっていません。



ともあれ、それまで無機物のみを対象としていた
錬金術に生命科学の概念を持ち込んだのはパラケルススですし、
天体学や占星学にも大きな影響を与えました。
一つのことを貫くことってのは、敵も多いが
その結果は大きいということですかねぇ。



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