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竜の末裔 第108話

2010-12-12 | 小説
飛んできた弾丸をサーガは真後ろに飛んで回避した。舞い上がる砂塵。飛んできた砂が口や目に容赦なく進入してくる。
「ぺっ!」
周囲を覆う砂のカーテンと目の痛みに視界を奪われたサーガがフェンとブランの無事を確かめようと首を回したときだった。
視界の隅に黒い影。
嫌な予感そのままにのけぞったサーガの残像が切り裂かれた。
ジャギン!
金属の擦れ合う音が響く。
見知ったシルエットと共にサーガの前髪の一部を奪っていったのは、巨大なハサミだった。
「今のを避けたって事は、ただのお気楽ヤロウではなさそうだね。」
徐々にひらけて来た視界の先に先ほどの少女が立っていた。
手には少女の背丈の半分もあろうかという鉄鋏を抱えている。
「おじょうちゃん、いきなり何するのかな?おいたが過ぎるとグレマ橋より気の長い俺様も怒っちゃうよ。」
精一杯の優しい声を出したサーガのセリフは、しかし怒りで震えていた。
そんな様子には無関心な風に少女はずいと三本の指を立てた右手を突き出した。
「一つ、“氷の微笑”がお前たちを殺せと命令した。二つ、伝説の竜の末裔、どんなものか見てみたかった。三つ、僕より幸せそうなやつは死んじゃえ!」



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