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幻獣図鑑 ~北欧神話最強の怪物 ヨルムンガルド~

2007-06-03 | 幻獣図鑑
北欧のヴァイキングたちが信仰していた神話があります。
それが北欧神話です。
北欧神話自体を良く知らなくても、
オーディンやヴァルキリー、ラグナロクなどの言葉を
ゲームや小説で目にしたり、耳にしたことがあるのではないでしょうか?

北欧神話は、戦闘の神々であるアース神族と巨人族による
戦いの神話です。
それゆえ、ファンタジーの世界に登場するなど、
いまでもその世界観は色あせてはいないのです。


さて、今回ご紹介するヨルムンガルドは、別名“ミドガルズオルム”
という巨大なヘビです。
その名前のヨルムンガルドとは「大いなる丸太」を意味しています。
また、ミドガルズオルムとは「ミッドガルドのヘビ」という意味で、
ミッドガルド(人間界)と同じくらいの大きさであることを示しています。
その大きさは北欧神話の中でも群を抜いており、
人間の世界を一巻きにして、その尾を自らの口で咥えています。


ヨルムンガルドは、フェンリル、ヘルと同様にロキの息子です。
これらの兄弟は、神々に災厄をもたらすと予言されたために、
主神オーディン自らがその処遇を決めました。
主神オーディンを飲み込むと予言された兄フェンリルは、
神々の監視の下で飼われることになりました。
また姉のヘルは、半身が生きており、半身が死んでいるという
特異な体質であったので、冥界に投げ込まれ、
死者の国を統治する権限を与えられます。

しかし、ヨルムンガルドは当時、それほどまでの大きさではなかったため、
オーディンにはそれほどの脅威は感じられず、海の底に捨てたのです。
この行為は、軽率であったと言わざるをえませんでした。
ヨルムンガルドは海の底で、その巨大さを懸念されたフェンリルよりも
大きく育ってしまったのです。


そんなヨルムンガルドは、アース神族最強の神“トール”
宿敵であるといっても過言ではありません。
なぜなら、巨人族の陣営の中でトールに対抗できるのが
唯一ヨルムンガルドだからです。

トールとヨルムンガルドの宿縁は、2度ありました。
トールがヨルムンガルドを持ち上げようとして持ち上がらなかったり、
大海原で命がけの決闘をしたりと、因縁浅からぬものがあります。

そして、最終決戦であるラグナロクでは、
宿命のライバル同士が3度(みたび)合間見えたのです。


「これが我々の最後の戦いだ!
 今こそ決着をつけようぞ、“大いなる丸太”よ!」


トールが雄たけびとともに、ヨルムンガルドに向かって駆けていきます。
その手にはミョルニル(打ち砕くもの)という名の
巨大なハンマーが握られています。
対するヨルムンガルドは、大きく口腔を覗かせ、
アース神族の中でも最大の体格を誇るトールを一飲みにしようと構えます。

巨大な雷神と、さらに巨大なミッドガルドの蛇が激しくぶつかり合いました。
瞬間、トールの持つミョルニルが、
ヨルムンガルドの巨大な頭部を打ち据えました。

耳を劈く(つんざく)ようなヨルムンガルドの断末魔の叫びが
あたりに響き渡りました。
しかし、彼の大蛇もただでは倒れませんでした。
死の間際にありったけの毒液をトールに浴びせていたのです。

こうして最強対最強の戦いは、共倒れに終ったのです。

文献の中には、ヨルムンガルドがトールに負けてしまうという
ものもありますが、共倒れの結末の方が人気があるみたいです。
やはり、最強に甲乙はつけたくないというのがあるのかもしれませんね。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2022-07-15 14:31:24
ヨルムンガンドの「ガンド」は精霊という意味では?
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