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怪談 くねくね

2009-06-08 | 怪談
暑くなってきました。
沖縄ではすでに梅雨が明けようとしていますね。
暑いときは・・・そう、怪談です。


これからの話は2chなどのネット世界で語られるようになった
いわば新しいタイプの怖い話です。
実際に目撃した人がいる、その存在を信じている人がいる、
このことから、不思議な事件簿にしようと思ったのですが、
めちゃめちゃ怖いので怪談にしました。



東北地方でよく出現する案山子によく似た不思議な物体・・・
目撃したものに不幸をもたらす存在が「くねくね」です。



幼い兄弟が祖父の家がある東北地方のA県に里帰りしていた。
都会とは違い、辺りには大自然が広がっており、
虫取りや川遊びなど、田舎ならではの生活を楽しんでた。

夏休みも終りかけのある日、
祖父の田んぼに遊びに来た兄弟は
遠くの方の田んぼに何か変なものを発見した。
「兄ちゃん、あれなんだろう?」
「なんだ、何か動いているみたいだけど・・・」


何か白いものが“くねくねくねくね”と動いているのだ。
はじめは案山子かと思ったが、案山子があんな動きをするはずがない。
かといって、人間だとしたら間接がありえない方向に曲がっていることになる。
「人でもないみたいだけど・・・」
すると、兄はにこっと笑って首からかけていた双眼鏡を持ち上げた。

「兄ちゃんが何か見てやる。ちょっと待ってろ!」
そういうと兄は双眼鏡でその物体を確かめ始めた。
「兄ちゃん、何が見えるの?僕にも見せてよ!ねぇ!」
自分も見たくてたまらない弟は、しきりに兄に話しかけたが、
ふと兄のおかしな様子に気がついた。

双眼鏡を目に当てた兄は小刻みに痙攣し、
全身から汗を吹きだしていたのだ。
口からは呻きともとれない声を出し、
ついには双眼鏡を取り落としてしまった。

明らかに先ほどとは違う兄の姿に怯えながらも、
兄の見たものが何だったのかを尋ねてみた。
「・・・何が見えたの?」

「・・・・わからないほうがいい・・・」
一言だけ呟くと兄はふらふらと祖父のいる納屋のほうへ歩いていった。
恐ろしくなった弟だったが、兄の身に何が起きたかを知りたくなり
兄の落とした双眼鏡を目に当てようとしたそのときだった。
異変に気づいた祖父が納屋から飛び出してきた。

「おい!お前見たのか!!??」
驚いて弟は首を横に振った。
しかし、祖父は兄のほうをじっと見ていた。
「兄ちゃんは見たのか・・・?」
そう言うと祖父は兄を背負い、弟の手をとって家に急いだ。
あまりに急ぎ足な祖父に引っ張られ、
手が抜けそうなほど痛かったが、何も言えなかった。
祖父がずっと
「わしが目を離したから悪かったんだ、わしが悪かった、すまん・・・すまん・・・」
何かを呟いていたからだ。

家に帰り、兄の様子を見た母と祖母は泣き崩れた。
兄は、祖父の背中から降りると狂ったように笑い始め、
体中をくねくねと乱舞させたからだ。
まるで、あの時見た田んぼの中の物体みたいに・・・


「兄ちゃんはここに置いておこう。」
祖父が言った。
「えっ!?」
弟には祖父が何を行っているのかわからなかった。
「それが良いかもしれん、都会ではおられんじゃろう。
 何年かここに置いて、田んぼに返してやるんが一番ええ・・・」
祖母までもがおかしな事を言い出す。
「そんな!だってさっきまで兄ちゃんは普通だったんだよ!だって、さっきまで・・・」
そういいながら弟にもわかっていた。
兄は先ほどまでの兄ではない。
もう兄は何処にもいないのだ。
わかってしまったから、弟はただ泣いた。


次の日、予定より大分早かったが弟は父母と都会に帰ることになった。
相変わらず兄の顔には奇妙な笑いが張り付いている。
時折、思い出したかのようにくねくねと身体を動かし、
そのたび大きな笑い声を上げていた。


車に乗り込み、見送られながら弟は兄の顔を見た。
相変わらず笑っていたが、その目からはとめどなく涙が流れていた。

兄が最後に使っていた双眼鏡で、弟は曲がり角まで兄の顔を眺めていた。
また涙があふれてきた。


車は曲がり角を曲がり、兄の姿は双眼鏡から消えた。
代わりに双眼鏡にはあのときの田んぼと、
見てはいけない物体が飛び込んできた・・・





さていかがだったでしょうか。
気になった方は
「くねくね」
で検索してみてください。

いろんな考察がされていますよ。
あなたはくねくねは何だと思いますか?


今日トイレ行けねぇ・・・


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