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竜の末裔 第109話

2011-01-23 | 小説
「そんなことお前にいわれるまでも無い!俺の幸せ度はススキツグミの一家よりも高いと評判なことこの上なし!」
胸を張って言い張るサーガには関心を示さず、少女は懐から何かを取り出した。
藁でできた手のひらより少し大きなそれは、人の形にこしらえてある。
「藁の人形・・・?」
「お前が死ねば、僕の“全世界幸せ度ランキング”の順位が一つ上がる。」
先ほど大鋏で切り裂いたサーガの前髪を藁人形の中に押し入れた。
「おいおい、何だ俺のファンか。言ってくれれば髪の毛だけじゃなく色々あげるのに。サイン色紙は持っているのかい?」
「いらない。これでいい。」
少女は持っていた藁人形の右手に当たる部分を持ち上げた。
「うわっ!」
すると、サーガの右腕も同じように持ち上がった。
「な、なんだこれ!」
次に、持ち上げた藁人形の右手を、顔に当たる部分に思い切りぶつけた。
「へぶしっ!」
サーガの右腕がまたしても藁人形と同じように動き、顔面を殴りつけた。
「て・・・てめぇ!なにをしやがった・・・!」
右の鼻の穴から血を垂れ流し、涙目になっている。
「呪ってやったんだ。」
静かに少女が言い放つ。
「相手の身体の一部を手に入れれば、この藁人形と同じ動きをさせることが出来る。僕の国に古くから伝わる呪術だよ。」


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