前回の続きです~
レイ君は高校生の時、
芸術科目は音楽を選択していたらしく、
音符の長さ等、基本的な事は概ね理解していました。
ただ、家に電子ピアノは有るものの、
ほとんど弾いた事が無い様子でしたので、
簡単な楽譜を使って、右手の弾き方から指導しました。
その時に、まず最初に指導する事は「脱力」です。
最初に「脱力」を意識する弾き方を身に付けると、
その後の練習が楽になるからです。
そのコツを習得させる為、
私はレッスン中に、生徒さんの腕や肩を触る事があります。
なので、私はレイ君に
「脱力を指導する為に、腕や肩を触る場合があります。
それは了解して貰えますか?」と尋ねました。
レイ君は「大丈夫です。」と答えてくれました。
発達障がいのひとつの特徴として、触覚過敏というものがあります。
触覚過敏というのは、
ゴワゴワした服が苦手で、同じ服しか着られない~とか、
人に触れられるのが苦手~等の症状です。
20年程前、発達障がいの知識を得る前の出来事でしたが、
さりげなく生徒さんの肩を触った時、
「やだ!」と大きな声で言われた事があります。
その生徒さんは、おそらく触覚過敏だったのでしょう。
その時は私も驚きましたが、
その生徒さんも、かなりビックリした様子でした。
それ以降、全ての生徒さんに
「触っても良いですか?」と聞くようにしています。
今回は、お母様から、
レイ君が様々な過敏症を持っている、とうかがっていましたので、
承諾を得たとはいえ、触る前は必ず
「今から肩を触りますね。」などと予告をして触るようにしました。
そんな感じで、春休みの特別レッスンは行われました。
数回指導するうちに、レイ君は簡単な伴奏を付けて両手で弾けるようになりました。
理解も早く、真面目に取り組むので上達も早かったのです。
そして最後のレッスンの日、
レイ君は1曲弾く毎に「寂しいな。」と呟きました。
「何が寂しいの?」と尋ねると
「レッスンが終わるのが寂しいんです。」と答えます。
発達障がいのお子さんは、年齢に比べて純粋な子が多く、
こんなセリフも真面目な顔で言ってくれるのです。
レイ君は最後に
「ピアノを教えてくれてありがとうございました。
凄く楽しかったです。」
と、深々と頭を下げてくれました。
「こちらこそ、どうもありがとう。
私もレイ君のレッスンは楽しかったですよ。
よかったら、夏休みもレッスンに来て下さいね。」
「はい、また夏休みにお願いします」
そう言って帰っていきました。
レイ君が、楽しく充実した大学生活を送りますように
大学のピアノの授業が始まった時、
気後れせずに臨むことができますように
心からそう願っています。
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