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民主党政権について思うこと・・・その2 公立高校無償化

2010-02-05 22:10:00 | 戯言

国民の“生活第一”を掲げて政権を獲った民主党。
その目玉としてマニフェストに盛り込んだのが“高等学校の授業料無償化”です。
しかし、この一見すれば素晴らしい政策も、実を言うと深い考察無しに作り上げられた“ばら撒き人気取り政策”であるようです。

卒業した学部の関係で、私の周囲には教員がたくさんいます。
最近彼らと話す機会があったのですが、中学校に教員も高等学校の教員もこの政策には困り果てているということを聴きました。

中学校の教員は、高校受験を間近に控えて保護者から公立高校の授業料無償化についての質問を浴びせられて“答えたくても答えようが無い”と言っていました。
一方の公立高校に勤める友人は、無償化のための様々な諸手続を各学校でやるような方針に対して、“現在の事務職員数では絶対に対応しきれないし、保護者の所得証明を学校で管理する事自体危険である”と話していました。

 

そして彼らが異口同音に挙げたのが地方の私立学校の問題でした。

首都圏や大都市圏では私立学校の方が、大学進学率やスポーツなどの面で公立の学校よりも優秀のようですが、地方はまるで違います。

地方の場合、住民の所得が低い事や伝統など様々な理由から公立学校への指向が強く、私立学校は公立の学校に行けなかった子ども達の受け皿になっています。
そのような状況で公立学校の無償化をやったらどんな事が起こるのか・・・

 

親の経済力が子どもの学力に比例している事は既にマスコミ等で大きく取り上げられています。
経済力のある家庭では、早くから子どもを塾にやるなど教育費を惜しみなくつぎ込むことが出来ます。
当然、そうした家庭の子ども達は高い学力を身につけることが出来ます。一方、経済力の無い家庭では子どもを塾にやることはおろか、両親共働きで朝早くから夜遅くまで仕事に追われ子どもにかまってやる余裕がなくなってきます。その結果はここで申し上げるまでもないでしょう。
そして高校受験。経済力のある家庭の子ども達は授業料が無料の高校へ進学し、経済的に苦しい家庭の子どもは授業料が高い私立高校に行かなければならないというおかしな現象が起こってくるわけです。

経済的に苦しい家庭の子どもを救済するため始める高校無償化は、結局、経済的に豊かな家庭の子どもしかその恩恵に預かることが出来ないのです。


本当に経済的に苦しい家庭の子どもを救済するのであれば、私立学校も含めた無償化にするか、もしくは無償化に所得制限を設ける、あるいは一番現実性と実効性が高いと思われるのは、返還不要の奨学金制度を充実させることではないでしょうか?


このような事は、マニフェストを作成する段階で、高校の現場の教員に意見を聞けばすぐに解る事であったはずです。
それをせずに(やったのかもしれませんが・・・)、国民に受けがいい“公立高校授業料無償化”を実行しようとしているのだから“生活第一”が聴いて呆れます。


社会保障というものは、今も昔も自助努力をしても“健康で文化的な最低限度の生活”を営む事が出来ない人たちを社会義務として救済する制度です。
“平等”の美名の下に生活に困っていない人たちにまで手厚い保護を与える必要は無いのです。
しかも、少子化が進む今日、地方の私立学校はどこも定員割れで厳しい経営状況が続いていると聞きます。
そうした中での公立学校の無償化は、これまで公立学校の受け皿として散々利用されてきた私立学校を無情にも切り捨てる事になることでしょう。
また、地方の私立学校で働いている教員の方々の生活はどうなるのでしょうか?

 

“生活第一”を標榜するならば、もう少し地方も含めた様々な人たちの意見に耳を傾け、思慮深い政策を練ってもらいたいと思います。


子を持つ親として“公立高校の授業料無償化”は魅力的に聞こえていましたが、友人達の声を聴くに至って、後先の考えが無い人気集めの悪魔のささやきに聞こえてくるようになりました。


コメント

--------これより以下のコメントは、2013年5月30日以前に-----------
あなたのブログにコメント投稿されたものです。

EP82-SW20 [2010年2月6日 22:41]
こんばんは。
個人的には「大反対」です、この政策。
義務教育でもないのに、なぜ無料化にするのか?
経済的負担で進学を諦める人を救済するのであれば、今の「奨学金制度」の返済負担を減らしてやれば済むことだと思います。
裕福な家庭への所得制限無しの子供手当て。
給食費を払える収入があるくせに払わないでいる家庭への子供手当て。
これも「税金の無駄遣い」と言わざるを得ないですね。
彼らの言う「民意」とは「民主党の意思」ですよ。
国民の意思ではないですね。
道産子カエチャン [2010年2月7日 11:17]
授業料免除となっていた生徒にとっては、何の意味もない制度です。これまでPTA会費など諸納金は、都道府県教委が所管する授業料振込み口座を、保護者は手数料なしで利用していましたが、今後、この口座が撤廃されますから、基本的に所納金の支払い手数料は保護者負担となります。授業料免除の生徒にとっては、振込手数料分だけ負担増となります。
さんじ18 [2010年2月7日 20:14]
公立高校無償化=義務教育と同じ意味になってしまう。

無償化は無意味な政策であり お金が無くて授業料を払えない家庭に授業料免除政策だけで十分

仕分けで見直し決定
まめ八 [2010年2月7日 22:12]
EP82-SW20さん、こんばんわ。
続けてのコメント、有難うございます。

この政策は、全くもって税金の無駄遣いと私立学校潰しのための愚策だと思います。
どうして金持ちの子どもが高校に無償で行って所得の低い家庭の子どもが授業料が高い私立に行かなくてはならないのでしょう?
しかも、最近、地方の公立高校は、青田刈りまがいの前期選抜入試やスポーツ特待などの制度を始めており、公立のエリート校育成に力を入れています。
これは、保護者の教育費負担減という美名の下に行われつつある文部科学省の勢力拡大(私立よりも公立の方が文化省の強制力が強くなる)のための政策だ、と教育界では言われているそうです。教育の場にまで中央集権が及ぶと、本当に怖い時代がやってくるかもしれません。
まめ八 [2010年2月7日 22:20]
道産子カエチャンさん、こんばんわ。
コメントを頂きまして有難うございます。

この問題にかなりお詳しいようで、コメントを拝見して私も勉強になりました。有難うございます。
友人の教師から聞いた話では、保護者の中には1000円のお金すら子どもに持たせることが出来ない位に困窮している家庭があるそうです。
振り込み手数料の負担増はそういった家庭には大きくのしかかってくるでしょうね。
誰も望んでいない所になけなしの金をつぎ込もうとしている訳ですよね。
民主党政権は、マニフェストの執着することなく、この法案を国会に提出させるのを暫く延期し、もう一度調査から始めるべきだと思います。
まめ八 [2010年2月7日 22:27]
さんじ18さん、こんばんわ。
続けてのコメント、有難うございます。

授業料無償化は、地方では受験競争を煽る事にもつながるでしょう。
生活困窮家庭の子どもに対する支援を考えるのであれば、現行の奨学金制度を拡充してもう少し手厚くしてやる事が大切だと思います。(例えば修学旅行費用の補助とか・・・)
事業仕分けも、本当に苦しんでいる人々への援助やこれからの日本にとって大切な事業が見送りやカットされるなど疑問点だらけで終わってしまいました。結局、選挙対策のパフォーマンスでしかなかったみたいですね。

yut666 [2010年2月7日 22:55]
こんばんわ。
高速道路にしても公立高校にしても、無料化は民主党の人気取り政策であって、将来的ビジョンに欠けるのではないでしょうか。
それで日本の景気や教育レベルがあがりますか。上がるわけないと私は思います。
都合のよいことばかり言って、税金と借金を増やすのは止めて欲しいです。
まめ八 [2010年2月8日 19:46]
yut666さん、こんばんわ。
いつもコメントを頂き、有難うございます。

ご指摘の通り、民主党は無料化すれば国民が喜んで票を入れてくれると単純に考えているのではないかと思ってしまいます。
国民を舐めきっていますよね。
それでなくても200兆円を超える財政赤字を抱えている訳ですから、お金の使い道はしっかり考えてもらわないと困ります。
バラマキをやらなくてもしっかりとした政策を掲げてくれるなら国民は票を入れてくれますよ。

にーなな [2010年2月23日 23:56]
こんばんは。
私もこの政策にはあまり賛成はしておりません。
無償というと確かに聞こえはよいのですが、この案件および高速道路無料化といい、どうも荒削りすぎて、方向性が見えていない気がしています。
もう少し煮詰めたものにしてから施行してほしいと思ってしまいます。
まめ八 [2010年2月24日 20:12]
にーななさん、こんばんわ。
続けてのコメント、有難うございます。

確かに民主党政権の政策は、聞こえはいいのですが荒削りというか、“どっからそんな金をひねり出してくるの?”と聞きたくなるようなものが多いですよね。
国の政策というものは、慎重に検討したうえで国会で審議すべきものなのでしょうが、どうも選挙対策で政策が立案されているようにしか見えません。“無い袖は触れぬ”わけですから、ばら撒きではなく、本当に必要なことに慎重にお金を使って欲しいと思います。