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sky is blue

言わなければよかったのに日記

あなたと私は違うし同じ

2004-12-12 19:09:13 | 音楽コラム
「みんな違う(孤独)ということが同じ(共通)わけだから、共有は孤独から生まれるのだろう」

私は、「PUSHIM @Zepp Tokyo」でこんなことを書いていた。これについてもうちょっと書いてみようかな。

要は、「人は一人一人違う。そして、一人一人違うということがみんな同じ」って言いたかったんだと思う。一人一人違うから、人はやっぱり孤独なのかなと考えていたら、そっか!それ(孤独)が共通点なんだ!と。で、それが共通点ならば、共有ってのは孤独から生まれるものなのかも知れないなぁ~なんて思ったんだ。

例えば、エレカシにしろシロップにしろ椎名林檎にしろ、超個人的な歌に過ぎないかも知れないじゃない。なのに、それに共感する人がいる。それとは対照的に、共感を前提としたもの、かつ、個人が見当たらないもの……例えば、明らかに20代の若者を対象としているような曲で、かつ、作り手の個人も特に見当たらないような曲とか、それはそれで良いのかも知れないけど、例えばそれを50代60代の人が聴いたら疎外感を感じるんだろうな~とか。それが悪いとは言わないけど、私はなんか淋しいなぁって思っちゃうんだよね。すべての人を対象にしろと言っているわけじゃない。そうじゃなくて、なんて言ったらいいのかな……。

例えば、突き詰めていけば「20代の若者」だって一括りにすることはできないと思うの。一人一人違うのだから。

「100匹の迷える子羊を救うために、法律や秩序というものが必要なんだ。それでも救えない1匹のために必要なのが芸術なんだ」

こんな言葉があるらしい。そう、たくさんの人がより良くより豊かに生きていくために法律とか社会とかがある。法律は、ある特定の誰かのためにあるものではなくて、みんなのためになくてはならない。個人的ではなく、一般的でなくてはならない。でも、音楽は法律じゃない。一般的でなくて良い。私達は、法律の中では「20代の若者」とか「ガラスの10代」とかそういう風に扱われるけど、本当はそんな人、誰もいない。「20代の若者」なんて人、どこにもいないでしょ。音楽の中では、「20代の若者」とか「ガラスの10代」とかにならなくったって良いんだ。「ぼく」とか「わたし」であればそれで良い。

すべての人間を完全に一つにすることはできない。でも、世界は一つしかない。だから、「みんな」という“誰もいない場所”を追求することで、あらゆる矛盾と闘い、秩序を保とうとするのが法律なんだと思う。法律はそのためになくてはならないと思う。でも、音楽で法律をやろうとしたって無理だよ。音楽は法律じゃないんだからね。「個人」を忘れて、一部の共感を狙えば、どこかに疎外感が生まれる。そして、その狙ったはずの共感だって、実は空っぽ、無人だよ。「20代の若者」なんて人、どこにもいないんだから。そこには誰もいないんだ。きっと、矛盾しているようだけど、個人が見えれば見えるほど、共感されていくんだ。一人一人違うということがみんな同じなんだから。法律とは違う方法で、人を繋げてしまうんだ。

音楽で法律をやろうとするなんて本末転倒だよ。音楽が法律になるのなら、音楽なんてなくったって良いんだ。

「聴いた人みんなが、“自分のために歌ってくれてる!”って思えるような音楽を作っていきたい」

そんな泣かせることを言ってくれたミュージシャンがいたなぁ(ワタナベイビーさっ♪)。個人が見えれば見えるほど、そこに自分を見つけたりするんじゃないかな。誰もいなきゃ、自分だって見えなかったりするじゃん。他者は鏡なんだ。何も個人的なことだけを歌えと言っているわけじゃない。それは表現方法の問題だから。

宮本が宮本のことを歌う。それを聴いた誰かが「私の歌だ!」って思う。それって、ものすごい素敵なことじゃない?

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ところで、最近のカラオケは凄いですねー。何がって曲の充実ぶりですよ。あんな曲やこんな曲まで。キング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者」なんて、歌うところほぼないやんけ!みたいな。間奏を<ラ~ラララ~ラッラ~>みたくして歌うんでしょうか。アンダーワールドとかのクラブ・ミュージックもあるんですね。しかし、女子十二楽坊もあるんですよ。映像(PV)を楽しむんだそうです。まぁ、それは序の口、エレカシも一杯あってびっくらこきました。ひぇ~。UAも最新アルバムから何曲かあって、これは拷問じゃないですか?(笑) カラオケでどう歌えと言うんです? ま、歌うけど(笑)。歌うっていうか、入れるけど。入れるだけなら、リモコン押せば誰でもできるもんね(笑)。

これはこれで嬉しくて喜んでたんですけど、こんなにも細分化・多様化されてるってことなのかぁと感慨深い気持ちになりました。その分、やっぱり、みんな知ってる!って曲は少なくなってきたんでしょうか…。そりゃ、ポップ・ミュージックが定着し、ミュージシャンもどんどんどんどん増えてるんだから、当然っちゃ当然ですよね。ジャンルなんて今いくつあるんでしょ? 「一人一人違う」のだから、細分化されて当然ですよね。でもさぁ、「一人一人違う」を突き破って「みんな同じ」になっちゃう音楽ってやっぱ素敵だと思うなぁ。凄いと思うなぁ。それを聴きたいって思っちゃうなぁ。

「一人一人違う」なくして「みんな同じ」にはなれないけど(それを前半で書いたわけだけど)、「一人一人違う」で止まってない、甘んじてない音楽ってやっぱ力を持つと思うし、それを突き破って「みんな同じ」になる瞬間ってやっぱ凄いと思う。

少なくとも私は、自分の好きな音楽は、他の人が聴いても素晴らしいって思うはずだ!って思ってるよ。実際はそうじゃなくってもね(笑)。