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sky is blue

言わなければよかったのに日記

平成理想主義の旅を終えて

2004-12-10 21:20:11 | エレカシ
ツアーはまだ終わってないけど、私が行くのは終わったってことで。

いやぁ~、ライヴのことを書くつもりが、軌跡を辿ったり、「ここからはライヴの話」とか書いておきながら、どうもライヴというより曲の感想になっちゃったりしてて、本当すいません。しかも長いし、長すぎるし。ほーら、みんな引いてるじゃないか(笑)。本当は、この投稿も「リキッドルーム恵比寿」の記事内に書こうと思ってたんだけど、字数オーバーで入らないってさ。頑張って削ろうと思って試行錯誤してたんだけど諦めた。懲りない私は(肩は凝ったけど)それでも書く。ますます熱苦しくなっちゃうと分かってても。だってだってエレカシが……。嗚呼、どうしようもない。

ライヴが終わって、ぼんやりと考えた。

“敗北”から始まったなんて書いたけれど、今回のツアーを終えて、エレカシは何らかの“勝利”を得られるのだろうか――。ふとそんなことを思ったら、前作『扉』の制作現場を追ったドキュメンタリー映画『扉の向こう』でとても印象に残った宮本の言葉を思い出した。

「誰も勝った人なんていないんだよ」

宮本からフイにこの言葉が出てきたとき、何かが一気にグワ~ッて込み上げてきて、ブワ~ッて押し寄せてきて、泣きそうになってしまった。だって、宮本の口癖を知ってる?

「勝ちにいこーぜ!」

いつもそう言ってる人がそんなこと言ってるんだよ? つまりそれは、「誰も勝った人なんていないんだよ」って言ってしまえる人と同じ人が言ってる台詞なんだよ? そこにエレカシの、いや、人間のすべてがあった。すべてを感じた。

結局は勝てないのかも知れない。結局は敗北と死に向かうだけなのかも知れない。それでも、勝ちにいく、「勝ちにいこーぜ!」と言う。いや、だからこそ、勝ちにいける、勝ちにいき続けられると言わんばかりに。「勝ちにいこーぜ!」――宮本の口癖。<敗北と死に至る道が生活>だと歌う宮本の口癖なんだ。結局は勝てないのかも知れないと知っていながら言っているんだ。「勝ちにいこーぜ!」――勝利なんてそんなもん、どこにも存在していないのかも知れない。勝利が何かも分からないし、何に勝ちにいくのかも分からないし、どうやったら勝ちなのかも分からない。それどころか、実は知っている。生きることの結末を――。宮本、それでも勝ちにいくのかい? 「勝ちにいこーぜ!」と言うのかい? それが敗北に向かうことだと、死に向かうことだと知っていながら言うのかい? なんてことだ。まるで人間みたいじゃないか。敗北に向かいながら勝ちにいく。死に向かいながら生きる。

勝ち組とか負け組とか、いい加減にしてくれないかな。どんな人もみんな最期は一人で死ぬんだよ。みんな負けるんだよ。誰一人として例外はいない。生きている間は、勝てもしないし負けられもしないんだよ。せいぜい勝ちにいく(負けにいく)ことしかできないんだよ。

「死にたいは生きたいだ」――こんなことを言った人がいるらしい。
「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」――『ノルウェーの森』に書いてあった。

「死に場所」は「生きる場所」だし、「死に様」は「生き様」なんだ。

勝ちにも負けにも興味はないね。そんなことに構っている暇はないんだ。私たちはみんな、負ける(死ぬ)し、勝つ(生きる)のだから。勝ちにいく(負けにいく)だけだ。

何度目の生だ!
何度目の死だ!
パワー・イン・ザ・ピープル!
何度でも死んでやるぜ!
何度でも生まれてやるぜ!

どーんといこうぜ!(これも宮本の口癖)

こんな風に歳を取っていけたらなぁ――今回のライヴをみながら、私はそんなことまで思った。宮本さん、私にとっては、あなたは、<架け橋たる存在>であり<スーパーマン>ですよ。だってきっと私の未来にあなたは存在しているから(ああ言っちゃった恥ずかしい)。「渋谷AX」でも書いたように、どんなときもエレカシは“今”にこだわる“現在指向”のバンドだった。私には、それがとんでもなく輝いて見えた。でも、今回、宮本はついに歌った。<未来指向>を。ついにエレカシに<未来>が登場したんだ!(これは『風』のことを書くときにでも…多分)

しっかし…エレカシ聴いてると、どんどんどんどん男っぽくなっていってしまう気がするのは私だけ?(汗) 文章の中とは言え、口調も男っぽくなっちゃってるしさぁ。これで良いのか私。ああ、女性ヴォーカル聴かなくちゃ聴かなくちゃ(笑)。

なーんてね。
どーでも良いのさ。(これも宮本の口癖…笑)

さらぬだに風を感じながら、私は今日も歩いていく。
その先が「敗北」であり「死」であっても。
だってきっとそれが「勝利」であり「生」なんだから。

「敗北」に向かうことが「勝利」。
「死」に向かうことが「生」。
「敗北」を知って「勝利」を知る。
「死」を受け入れて「生」を受け入れる。
ハロー人生!!

そうして初めて、「負けた」は「勝った」に変わり、「死んだ」は「生きた」に変わるんでしょう? え? そんなの分からない? そうか…。それでも良いよ。悲しみの果てに何があるかなんて知らないし、見たこともないんだ。

でも、幸運にも私は、好きみたいなんだ、生きてることが。

「勝ちにいこーぜ!」――今日も宮本はそう言っているのだろうか。それが「負けにいこーぜ!」と違わないと知っていても。エレカシは、敗北と死に近づきながら、勝利と生に近づいているんだ。

*** 追伸 ***

『平成理想主義の旅』も残すところ一公演ということで、こんなにも恥ずかしい文章を書いてしまいました~。いつもこう熱苦しいワケじゃないですよ~! 実はいたってクールなのです?(笑) 勝ち組とか負け組とかも言ったりします!(笑)