年末に、書類の整理をしていたら、捜し物が見つかった。それは、以前書いた拙著の帯である。
私が平成4年10月に刊行した『ケースマネージメントの理論と実際ー生活を支える援助システムー』の初版本が出てきた。この初版本には帯がついており、この帯には、私の師である岡村重夫先生、当時の日本社会事業大学学長で日本地域福祉学会会長の三浦文夫先生、その当時時全国老人福祉施設協議会と全国在宅介護支援センター協議会の両会長をしておられた岩田克夫先生が、それぞれ推薦文を書いて下さった。相当たる先生が推薦して下さったことを、今更ながら相当厚顔であったことを恥じるとともに、依頼にご快諾いただいたことを感謝する次第である。
私は自分の初版本というよりは、この帯がなく、ずっと探していた。その理由を今日は書いてみる。
この本は中央法規出版から刊行したが、編集は白石正明さん(現在は、医学書院に移り、反医学的な色彩の強い本を編集しており、先般、こうした著書の刊行に対して医学書院が賞を貰っていた)であった。出版にあたって帯の発案は白石さんからあったと記憶しているが、岡村先生にもお願いすることになった。
一般には、こうした推薦文については、出版社が原案を書いて、それを修正なり了承してもらうことが多い。白石さんは岡村先生にそうした原案を送り届けたが、電話で先生から大きな声でどやされたことを、後から聞いて、大笑いしたことを覚えている。最終校の原稿を送ってさえくれれば、先生が書くので、お節介をするなということであった。
それで、岡村先生が書いて下さった推薦文を再度載せておきたい。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
大阪市立大学名誉教授 岡村重夫
本著は、ケースマネージメントの理論と技法を、多数の内外の事例を引用して体系的に解明した、類例少ない好著である。これによってわが国の社会福祉界に新しい方向転換の起こることが期待される。必読の好著として推挙したい。
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先生に最終校を読んでいただき、書いていただいた推薦文は、社会福祉の将来を見越したお見事という他はない推薦文である。当時の私には、ケアマネジメントがソーシャルワークの中核になっていくといった実感がさほどなかったが、先生の期待された日本の社会福祉の転換をケアマネジメントで展開していくことを、見事に当てられた。
日本の社会福祉の方向転換をなしえたのには、2点に要約できる。まずは、ソーシャルワークの機能を明示し、その方法を確立することができたことであろう。第2は、方法論であるソーシャルワークがケアマネジメントを取り込むことにより、サービス・デリバリー・システムという政策論の展開が可能になったことであろう。
当時、本を書いた私自身は、大げさに書いていただだいとということで、気恥ずかしい心境であったことだけを覚えている。当時は、ケースマネージメントやケアマネジメントの実践は皆無であり、論文もほとんどない時代にあった。そうした時代に、10年なり20年先を見越して予言できるような人は、そういないであろう。
先生の大声でどやす姿勢や、将来を見越す能力に、研究者としての魂や将来を見越す能力に驚きの念を隠せない。この帯を探していたのは、以上のような予言を書いていただいていたからである。私の手元には、この帯の本は一冊もなくなっていたが、今回見つかったので、大切に保存しておきたい。
現在の社会福祉界は、ケアマネジメントでの転換の時代は既に終わり、新たな転換の時代に入っている。次の転換の内容は、岡村先生であれば分かるのであろうが、今や私たちの世代が方向付けしていかなければならない立場にある。
私なりの次のステップは、地域を対象としたネットワーキングづくりなのか、あるいはストレングスを含めた利用者観なり利用者像の新たな確立なのかは分からないが、そうした仕事にもう少し関わることができればと思っている。同時に、若い研究者のそうした研究の帯に推薦文でも書かせていただければ光栄である。そうして、社会福祉なりソーシャルワークの次のステージに移行していきたいものである。
私が平成4年10月に刊行した『ケースマネージメントの理論と実際ー生活を支える援助システムー』の初版本が出てきた。この初版本には帯がついており、この帯には、私の師である岡村重夫先生、当時の日本社会事業大学学長で日本地域福祉学会会長の三浦文夫先生、その当時時全国老人福祉施設協議会と全国在宅介護支援センター協議会の両会長をしておられた岩田克夫先生が、それぞれ推薦文を書いて下さった。相当たる先生が推薦して下さったことを、今更ながら相当厚顔であったことを恥じるとともに、依頼にご快諾いただいたことを感謝する次第である。
私は自分の初版本というよりは、この帯がなく、ずっと探していた。その理由を今日は書いてみる。
この本は中央法規出版から刊行したが、編集は白石正明さん(現在は、医学書院に移り、反医学的な色彩の強い本を編集しており、先般、こうした著書の刊行に対して医学書院が賞を貰っていた)であった。出版にあたって帯の発案は白石さんからあったと記憶しているが、岡村先生にもお願いすることになった。
一般には、こうした推薦文については、出版社が原案を書いて、それを修正なり了承してもらうことが多い。白石さんは岡村先生にそうした原案を送り届けたが、電話で先生から大きな声でどやされたことを、後から聞いて、大笑いしたことを覚えている。最終校の原稿を送ってさえくれれば、先生が書くので、お節介をするなということであった。
それで、岡村先生が書いて下さった推薦文を再度載せておきたい。
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大阪市立大学名誉教授 岡村重夫
本著は、ケースマネージメントの理論と技法を、多数の内外の事例を引用して体系的に解明した、類例少ない好著である。これによってわが国の社会福祉界に新しい方向転換の起こることが期待される。必読の好著として推挙したい。
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先生に最終校を読んでいただき、書いていただいた推薦文は、社会福祉の将来を見越したお見事という他はない推薦文である。当時の私には、ケアマネジメントがソーシャルワークの中核になっていくといった実感がさほどなかったが、先生の期待された日本の社会福祉の転換をケアマネジメントで展開していくことを、見事に当てられた。
日本の社会福祉の方向転換をなしえたのには、2点に要約できる。まずは、ソーシャルワークの機能を明示し、その方法を確立することができたことであろう。第2は、方法論であるソーシャルワークがケアマネジメントを取り込むことにより、サービス・デリバリー・システムという政策論の展開が可能になったことであろう。
当時、本を書いた私自身は、大げさに書いていただだいとということで、気恥ずかしい心境であったことだけを覚えている。当時は、ケースマネージメントやケアマネジメントの実践は皆無であり、論文もほとんどない時代にあった。そうした時代に、10年なり20年先を見越して予言できるような人は、そういないであろう。
先生の大声でどやす姿勢や、将来を見越す能力に、研究者としての魂や将来を見越す能力に驚きの念を隠せない。この帯を探していたのは、以上のような予言を書いていただいていたからである。私の手元には、この帯の本は一冊もなくなっていたが、今回見つかったので、大切に保存しておきたい。
現在の社会福祉界は、ケアマネジメントでの転換の時代は既に終わり、新たな転換の時代に入っている。次の転換の内容は、岡村先生であれば分かるのであろうが、今や私たちの世代が方向付けしていかなければならない立場にある。
私なりの次のステップは、地域を対象としたネットワーキングづくりなのか、あるいはストレングスを含めた利用者観なり利用者像の新たな確立なのかは分からないが、そうした仕事にもう少し関わることができればと思っている。同時に、若い研究者のそうした研究の帯に推薦文でも書かせていただければ光栄である。そうして、社会福祉なりソーシャルワークの次のステージに移行していきたいものである。
本年もどうぞよろしくご指導ください。