ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

2025年の医療・介護のセフティ・ネット(1)ー概要

2008年12月09日 | ケアや介護
 社会保障国民会議(座長:古川洋東京大学大学院教授)が、3つの分科会を合わせた計31回の会合のもとで、11月4日に「社会保障会議 最終報告」が出された。それに先立ち、10月23日にサービス保障(医療・介護・福祉)分科会が「医療・介護費用のシュミレーション」を提出している。これらの結果を踏まえて、最終的な年金、医療・介護、少子化対応についての基本的な方向が示されている。

 まずは、今までどの程度税や保険料を払えば、どのようなサービスを受けられるかを提示すべきであると主張してきた者としては、このような医療・介護についての2025年を目処にしたシュミレーションを示したことは国民の議論を呼んでいく上で、評価したい。

 今回の医療・介護のシュミレーションでは、医療と介護を連動させた三つのレベルの改革を想定し、それらは、「穏やかな改革」(B1)、「大胆な改革」(B2
)、「さらに進んだ改革」(B3)とし、「現状で維持」した場合と、「大胆な改革」をした場合の比較をしている。

 大胆な改革(B1)の内容は、現状で維持していった場合をベースにして、2025年には、急性期入院については、急性期病床を設定し、職員体制を強化し、平均在院日数を現状の20.3日から10日に減らすことで、ベット数を削減する(17万床減)。同時に、長期療養入院も減らし(13万床減)、在宅に移行させ、特別養護老人ホーム(7万床減)や老人保健施設(11万床減)も今後の伸びを抑えることとしている。その分、在宅介護(21万人増)、特定施設(11万床増)、グループホーム(10万床)を増やすとするものである。

 2025年には、現状維持の状況が続いた場合には、消費税に換算して、公費で賄う部分が3%程度のアップと、保険なり税で支払う部分が2%程度となり、実質消費税に換算して5%程度アップが必要となる。ところが、大胆な改革では、公費が4%、保険なり税で払う部分が3%であり、7%程度のアップとなる。ただし、介護職の人件費水準を1割アップした場合には、さらに1.6%程度のアップが必要となり、合わせると、大胆な改革では消費税換算にして、8.6%のアップということになる。さらに、自己負担分についても、消費税換算で、1%程度の増となる。

 2025年は、私もそうであるが、団塊世代が75歳以上の後期高齢者に突入しており、医療や介護の主たる利用者になる時期である。国民はどの道を選択するのかということである。同時に、その選択する国民は、その時代にあっては、団塊世代である以上、我々の世代が意見をだしていくことが必要である。ここに、2025年の、人口割合を図に示しておいたが、今から17年後には、20歳から65歳未満の生産年齢人口が1千百万人減少し、75歳以上の後期高齢者が9百万人増加する時代となる。

 次回は、団塊の世代の一人として、この大胆な改革のシナリオについての私の意見を述べてみたい。なお、医療の側面からは、二木立先生が「社会保障国民会議「医療・介護費用のシミュレーション」を複眼的に読む」(「二木教授の医療時評(その61)」『文化連情報』2008年12月号(368号):14-17頁で述べており、私は介護のサイドから言及することとする。


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