ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

地域でのネットワーキング論?(10)<「計画に基づく変化」を中核に>

2008年06月16日 | 地域でのネットワーキング論
 地域でのネットワーキングを進めるためには、「計画に基づく変化」(planed change)を追求することが必要であると考えている。これは、専門職においては、目標に向かっての計画を作成し実施するということが求められる。同時に、計画の実施による変化が生まれるが、それはソーシャルワークの目的と合致したものでなければならない。

 私が、ケアマネジメントで求めたのは、ソーシャルワークにおいての「計画に基づく変化」を模索したものである。私がケースワークを嫌いだったのは、計画性が弱いこと、さらに変化がソーシャルワーク固有のものであることの説明が弱いこと、と整理している。すなわち、「計画に基づく変化」を追求することで、計画作成で専門性が発揮でき、変化する内容が、利用者の生活であるとしてきた。そのため、ケアマネジメントでは、計画に基づく支援でもって、主として「個人」である利用者の生活を変化させることを意識して、研究してきた。

 今回の地域のネットワーキング論についても、「計画された変化」を中心的な考え方にして、あるべき方法を模索していく必要がある。但し、その対象が「個人」ではなく、「地域」であり、同時に「組織」といったものを含むことになる。

 このため、具体的には、第一には、「計画に基づく」という用語でもって、地域を住民にとって生活しやすいように変える計画が作成され、実施されなければならない。そのためには、どのような方法で地域の状態をアセスメント(分析:アナライゼーション)するかが明らかにされなければならない。ここでのアセスメント(分析)の方法は、地域を把握するための調査といった手法を活用する方法もあれば、個々の利用者の生活問題を基礎にして、そのから同様の対象者に対応した地域の生活課題を抽出する手法もある。

 第二には、「変化」の意味では、地域での生活問題が予防できたり、解決・緩和に寄与できたり、継続的に支援できることに貢献できるように、地域社会を変えることである。ここでの生活問題とは、地域住民と地域環境との関係の中で生じている齟齬のことであり、齟齬には社会資源がなく住民が困っていたり、社会資源と住民のニーズにギャップがあったり、社会資源間でギャップが生じていることで住民が困っていたりといったことである。そのため、専門家として、この地域にある生活問題の解決や緩和という変化をもたらすことである。

 さらに、アセスメント(分析)から導き出される計画内容は用紙に記述され、その用紙を見れば、誰でもが納得できるものでなければならない。こうした目に見える、生活問題解決に向けて変化内容を示した計画用紙が提示できなければならない。この用紙があれば、住民の参加を容易にするだけでなく、最終的には住民主体の活動になっていくのではないか。同時に、ソーシャルワーカーのネットワーキング機能を社会全体で理解してもらえるのではないか。

 次には、計画の実施としては、計画内容に含まれている住民や専門家、政治家等を参加させ、実行していくかが展開されることになる。同時に、これを内容に含まれている実施過程(期限を決めての実施過程)をもとに進めていくが、計画の実施過程でのモニタリングや評価が展開されていくことになる。

 ソーシャルワークの実務に従事している方も、研究・教育に従事している方も、是非、以上のような「計画に基づく変化」を常に念頭に置いて仕事をしていくことが必要ではないかと考えている。

 私が、ケアマネジメントの研究を始める契機となったのは、かの有名なピンカスとミナハンの『social work practice : model and method』で、このplaned changeを強調されているのに触発されてのことである。すなわち、個人の何を変えるのか、さらにはいかに計画を作成し変えるのかをテーマにして、ケアマネジメントの骨格を検討していった。これこそが、科学であり、専門性を発揮する部分である。

Social Work Practice: Model and Method.

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