さよならあ と手を振り
すぐそこの塀の角を曲がって
彼は見えなくなったが
もう二度と帰ってくることはあるまい
塀のむこうに何があるか
どんな世界がはじまるのか
それを知っているものは誰もないだろう
言葉もなければ 要塞もなく
墓もない
ぞっとするような その他国の谷間から
這い上ってきたものなど誰もいない
地球はそこから
深あく虧けているのだ
(亡羊記・塀のむこう)
すぐそこの塀の角を曲がって
彼は見えなくなったが
もう二度と帰ってくることはあるまい
塀のむこうに何があるか
どんな世界がはじまるのか
それを知っているものは誰もないだろう
言葉もなければ 要塞もなく
墓もない
ぞっとするような その他国の谷間から
這い上ってきたものなど誰もいない
地球はそこから
深あく虧けているのだ
(亡羊記・塀のむこう)