鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

「わかりやすさ」が生む結集力

2021年06月03日 | キリスト教の正しい学び方

 

 ベルリンの壁が崩壊したので、マルクス思想はもう完全に過去のものとなった、という印象が続いてきている。

だけど実際にはその影響力は、いまでも、他の社会思想を遙かに超えた力を持っています。

まず、これほどに「わかりやすい」社会思想は他にありません。

マルクス思想は、原理を正確に理解してなくても、下記のような風に漠然とした理解をしても、

感覚的によくわかるのです。

 

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「資本主義社会では資本家が労働者を搾取しているぞ」

「だから平等は実現されないぞ」

「実現するには、市場で価格が決まる方式をなくせねばならないぞ」

「そのためには、私有財産制をなくし、中央政府が正義でもって経済を運営できるようにせねばならない」

「目を覚ませ、みんな立ち上がろう!」

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 これって、とりたてて経済学を学んでない一般大衆にも、具体的なイメージ湧くよね。

だから大勢がこの思想を共有できる。

容易に共有できるから、一つの社会勢力が容易に形成できるのです。

 

<蒋介石が敗れたのも>

 中国では、戦中、戦後を通して、蒋介石と毛沢東が覇権を争いました。

結局、毛沢東が勝ったのも、より多くの人民を一つに結集できたからです。

上記のようなマルクス思想は、学びの機会を持たなかった、貧しい中国大衆にもわかりやすかった。

これに比べたら、「自由市場の働きで経済が機能する」といったような思想はわかりにくかった。

だから、毛沢東の共産主義思想の方が、より多くの人民を一つに結集させることが、時とともに出来ていったのです。

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 この「わかりやすさの力」は、いつでも健在です。

いまでは中国は「市場制社会主義」ともいうべき方式の国家です。

土地の私的所有は認められず、国家の所有となっていますけれど、

それが人民に貸し出され、私的に効率を求めて運営するのを許している。

工場も、国営だけでなく、私営も許されています。

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 だけど、人民には上記のような「漠然マルクス思想」を抱かせて、国家の一体性を形成しています。

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 社会思想というのは、それを抱く人間の心にそのメッセージを発し続けます、

メッセージは四六時中、人の心に影響し続ける。

中国はだから今でも、物理的には市場制社会でありながら、思想的には共産主義国家です。

「(漠然)マルクス思想」は現在も、その力を世界に発揮し続けているのです。

 

 

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