前回までに見てきたように、「天国」は福音の中核であり、また、「主の祈り」のキーコンセプトでもあります。
にもかかわらず、この理念はきわめて漠然としてしか把握されていない。
その一例を「バラダイスとの混同」にあることを、前回示しました。
だが、とにかく聖書で言う天国は、何とか明確に認識せねばならない課題でもあります。
ですけど、これは難問です。
わかっているようでわかっていない。
そういう性格の難問でもあるのです。
<創造神との関係での理解が必要>
理由の一つは、天国は、創造神との関係で認識しないと理解できないことです。
聖書の世界イメージは、創造神から始まります。
天国はその中で説明されないと、全体観がえられないのです。
ところがその創造神の理解にも難しいところが多いのです。
神といっても、創造神は他の神々と異質な、別格な存在なのですから。
<その創造神の理念からしてわかりにくい>
たとえば日本の一般人は万物の創造神と聞くと、神という語だけを引っかけて~
「ああ。宗教だな。例の神様の話だな」と思うでしょう。
こういうアバウトな思考を打破することからして難題です。
どうしましょうか。
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話は、無限大の時空を含めた壮大な世界に及んでいます。
これらの話を長々と話されても、フォローが苦しくなるでしょう。
そこで鹿嶋はまず私的解読を一気に語ることにしました。
創造神の話から入って、天国を一気に説明しようと思います。
個々の解読をいちいち照応聖句を持ち出して示すこともしない。
それは後で別述することにします。
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話はまた、SF小説的な空想的なものにもなります。
これまで鹿嶋を「異端!」と告げ口してこられた方々、その他、異端呼ばわりの好きな多くの方々に申し上げておきます。
ご自由にうわさし合ってくだっていいのですが、これは知って置いてください。
異端とは正統な教理があってこそ、それとの比較で言えることです。
批判される際には、「あなたが正統とする教理、解釈を明示して」やってください。
では始めます。
<在物神の神々>
まず、創造神以外の他の神々のことから。
これらの神々のイメージは、よくみると、みな、物質の中に染み込んでいる霊的存在です。
鹿嶋はそれを、在物神と名付けてきました。
人は生まれて自然なままでは、物質しか認識できません。
だがそのとき同時に、その中に自分に影響を与える「見えない」存在をイメージします。
神とは定義すればこの「見えない影響者」です。
人は空、海、山、川、岩、樹木、彫像、お札(ふだ)などの中に、そういう影響者をイメージするのです。
これは人間の自然の情です。
<万物の創造神>
さて在物神では共通して、イメージをする際、人間の意識には、物質が先に認知されています。
物質ファースト。
それに次いで、(その中に)神がイメージされるのです。
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万物の創造神のイメージは、真逆です。
神が物質に「先行して」意識に生じます。
だって、先に創造神がいて、物質が創られて出現するというのですからね。
創造神が先というのが道理です。
神ファーストですね。
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その創造神が、創造の技をするまえには、まず、無限の過去から存在しています。
その懐に、御子と聖霊がいます。
これらがいわゆる「三位一体」となっている創造神だけが、無限の過去から存在している期間が続いています。
<天国は最初の被造物>
そしてあるとき、被造物を作り始めます。
その第一が天国なのです。
正確には「天の創造神王国(Kingdom of Heaven)です。
それは、地上(後に創造される)で訓練を終えた御子が、天に昇って王として統治すべき超広大な被造空間です。
だが超広大といっても、被造物ですので、その広がりは有限です。
我々はそれを球体としてイメージしたらいいでしょう。
このへんで、いつもの「聖書の空間理念の図」を掲示しておきますね。
<創造神の名と王座>
さて創造神は、その天国の一角に、王座をおきます。
それが将来御子が天国を統治する際に、そこに座してなすべき王座です。
また、王座の上方には「父なる創造神の名」をも置きます。
それは将来天に昇って御子が相続すべき名です。
<天使(御使い)>
次に進みます。
SF小説的になっていきますよ。
創造神は天国に、創造神に仕えるべき天の民を無数に創ります。
この民は、自由意志を持つように創られています。
これが天使(エンジェル:御使い)です。
天は霊界です。
天使は霊だけで構成された霊的存在です。
そして火にも風にも変容しうる「力ある霊」です。(ヘブル書1章)
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天使は、後に創られる人間のように、肉体を持つことがないので、自己増殖しません。
だから、創造神は天使を最初から無数に創ります。
天使は創造神に仕える天の民です。
天国が機能するように様々な役職に身を置いて仕えるように創られます。
また天使は軍隊状に組織されていて、各々に位階があります。
上位の天使は、天使長として一定の軍団の天使を従えます。
<最高位の天使が使う「神の名」>
そのなかで最高位の天使がいます。
彼は、創造神の全権を委任された代理者です。
創造神として振る舞う権威を与えられ、行動します。
そして、御子が天国に来るまで、王座を守るという役目を与えられています。
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さてその際、創造神は、暫定的な「神の名」を創ります。
それは「自分も自分の代理天使も」使うことが出来る神の名で、これがエホバです。
(さ~あ大変。エホバはイエスの父なる神の名だと思ってきた読者は大変でしょうね。
賛同や異論は自由です。遠慮なくコメント欄に書いて下さいね)
鹿嶋私論を続けますよ。
代理天使は、御子が王座に就き、創造神の名を相続するまでの期間に、
エホバの名をもって暫定的に神として行動します。
~まずはこれまでとしておきましょう。
一気に進める話は、次回にも続きます。