鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

米国への無知を正す26  ~信教自由の修正条項を憲法に挿入させる~

2015年06月28日 | 米国への無知を正す




<三段跳びの戦略大枠>

バプテスト聖句吟味主義者は、独立戦争を仕掛け、勝利すると新国家を憲法制定に導いた。
だがこれは三段跳びで言えば、はじめのホップ、ステップである。
最後のジャンプは「信教自由国家の確立」で、これが彼等の最終目標だった。

もともと彼等はそういう手順を心に抱いていたのだ。

けれども、この第三段階は、前の二段階より飛び抜けて困難な課題だった。
国民の意識が熟していないのだ。、

大陸植民地の独立や憲法の制定については、それが必要と思う意識は国民に普及していた。
だが「宗教活動を全く自由にする」という思想には、多くの人民はついてこれられない状態にあった。




<ワシントン大統領にロビー活動する>

こうした中でバプテスト聖句自由吟味主義者たちは、憲法修正キャンペーンを全国で展開した。
その一方で大統領ワシントンの説得に乗り出した。

彼らはワシントンと話し合うべく代表団を首都(当時はニューヨークだった)に送った。
代表者たちは「憲法の中に政教分離、信教自由の原則を修正(アメンドメント)条項として挿入すべき」と新大統領に熱く説いた。
おそらくこれは米国最初のロビー活動だったろう。

このとき、ジェファーソンの経験則「ひたすら懸命にやり続ければ、幸運が与えられる」がまたも働いた。

ワシントンもバージニアの人だったが、大統領に就任する頃には「バプテストたちは聖句自由解釈を唱える無政府主義者」という通念をもっていた。
だが就任して落ち着くと、それまでのいきさつを振り返るようになった。
彼は独立戦争の総司令官として全軍を動かしたときの驚くべき体験を思い起こした。




<バプテストは無政府主義者でなく愛国者だった!>

顧みれば、バプテスト聖句吟味主義者たちは自分勝手な無政府主義者どころか、それと正反対の愛国者だった。

バプテスト教会から来た従軍牧師たちは、従軍医師や牧師は戦線の後方のテントで寝泊まりするという通例に従わなかった。
彼等は戦線の最前線で一般兵士と共にすし詰めのテントで寝て、戦が始まると先頭に立って兵士たちを鼓舞した。

兵士も、バプテスト教会から来た者には志願兵が多かった。
そして、彼等は命知らずの戦いをした。

聖句吟味主義者の州、ロードアイランドでは、息子を積極的に戦場の送り出す親が続出した。
州民もまた、多額の戦費を提供し続けた。

独立戦争を思い起こす中で、ワシントンのバプテスト観は180度変わり始めた。
「彼等は世間の言うような勝手な無政府主義者ではない・・・」
彼は、バプテスト代表団を、多くの議員に紹介した。




<憲法修正会議で国定宗教案と戦う>

こうした中で、憲法修正会議が開かれた。
バージニア代表団は、20条項からなる権利章典のバージニア州案を、下院にて提案した。
そこには政教分離の条項が含まれていた。

対して、国定宗教案も出された。
聖公会(英国国教会)、長老派、組合派それにバプテスト派を公定教派とし、国民はそのうちの好きな教派を指定して教会税を支払うという案だった。


 天才的雄弁で知られる弁護士のパトリック・ヘンリーはこの案を強烈に支持した。
 聖公会、長老派、組合派はこの案を受け入れた。
だがバプテスト聖句自由吟味主義者は、この特権を受けなかった。
彼らには、教会運営資金が、税という国家の強制力を使う手段でもって調達されるなどもってのほかだったのだ。

 だがヘンリーは一歩も譲らず、議会はこう着状態に陥った。
その時~おそらくワシントンが動いたのだろう~ヘンリーにバージニア州知事就任の辞令がおりた。
彼は議会を去った。
ただしそれでも、政教分離を支持する議員は少数派のままだった。





<「バージニア案を修正してみよう」という動議>

 バプテストの支援者マディソン(後の第四代大統領)は、政教分離、信教自由の重要性を説き続けた。

罵声と怒号の中で伝え続けると、ついに、「バージニア案を修正して案を作ってみよう」という意見が現れた。

20条項の試案は10項目の連邦権利章典案に修正された。
修正案は上院も通過し、1791年、全州の3分の2がついにそれを承認するに至った。

 新しい権利章典が修正条項として憲法に追加されたのだ。
「政治が宗教に干渉するを許さない」~という原則を持った国家がこの地上に出現した。

アメリカ以外の国では、決して起きえないことである。

+++

このように、アメリカ国家の基底構造は、聖句吟味者が造っている。

我々はただ漠然と「米国はこういう国」と感じているが、それは聖句自由吟味精神の国なのである。




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米国への無知を正す25  ~バージニア州代表団、リーダーシップを発揮~

2015年06月13日 | 米国への無知を正す






聖句自由吟味者たちはバージニア州議会でリーダーとして容認された。
この人々の名が、いま言われているところのバプテストである。

北米大陸の旧植民地人民は、とにかく、英国という大国の支配から自らを切り離した。
次の課題は、この集団を「一体として運営されていく集団」にすることだった。

これからそれを語るが、我々日本人には深く留意しておくことがある。




<隣国との関係を常時考慮しなくていい特殊国>

彼らはこの国造りを、母国大英帝国や欧州の強国たちの性格や動きをにらみながら、考えねばならなかった。
特に、英国は、この新独立集団を再び支配下に置くチャンスをうかがい続けていた。
諜報員の暗躍も当然あっただろう。

これが日本と違うのだ。

日本でもたとえば、鎌倉幕府を造るとき、関東武士たちは新国家体制を思案した。
朝廷との関係もデザインした。

だが、それを隣国の中国や韓国、あるいは東南アジア諸国の動きをにらみながら、考案する必要性は少なかった。

四面を海で隔てられているからである。

だが、これはこの地球上で一定以上の規模を持った国家としてはきわめて特殊なことだ。
こういう特殊環境に、日本人は置かれてきていることを見逃してはならないのだ。

欧米諸国に比べたら、日本の国家システム作りは単純素朴だ。
もし、PCやスマホで国造りゲームを作って売り出したとしても、日本を舞台としたゲームは売れないだろう。
隣国との相互関係が考慮要素として入ってこないので、ゲームはきわめて単純でつまらないものになってしまうのだ。

実は、この環境が日本民族の政治見識の希薄さと直結している。
今の日本の政治問題も、この土壌から産まれている。
だが、これについての話には、ここでは踏みこまない。

ともあれ、これから筆者はアメリカ大陸旧植民地の国家システム作りの話をいていく。
だが、それは常時、生き馬の目を抜くような欧州諸国の動きをにらみながらされていることを心に留めておくべきだ。





<中央政府がいる>

では始める。

バージニア州議会のリーダーたちは、国家システムを、法の支配によるものとして作り上げようとした。
法に最高権威をもたせ、それでもって国家システムを規定し安定的に運営することを望んだ。

州は既にある。
すでに各々が独立性を持ってしまっている。
これを連携させ、国としての一体化を実現せねばならない。

それを具体化するには、全体のリーダー機能を果たす政府が必要だ。
彼らは連邦政府(中央政府)を造ることを考えた。

すると次の決定事項が出現する。
各州は中央政府に、どの程度の権限を委譲すべきか、がそれだ。




<憲法制定会議を仕掛ける>

話は前後するが、彼らは、これらを各州の代表を集めた会議で議論し、合意に基づき決定させようとした。

そのために、彼らは憲法制定会議を提案しつくらせようとした。
そして、これを実現して、延々と議論しあった。

それは聖句吟味主義者たちが、このやりかたが、国家の成員の知的資産を発揮させる最も効率的な方法だと知っていたからだ。
彼らは、聖句吟味活動二千年を通して、そのことを確信していたのだ。



<大統領と議院との権限関係をデザイン>

では連邦政府の統治システムはどうするか。
議院内閣制にするか、大統領制にするか?

大統領を人民が直接選んで決めるようにすれば、統治行動のリーダーシップと責任は、議院内閣制よりも明確に現れる。
彼らは大統領制を選んだ。
すると、この大統領と議院との権限配分をデザインせねばならなくなる。

たとえば、大統領に議院の決定への拒否権を与えるべきか等々だ。

これらを州代表たちは延々と議論し、決定していった。





<民主制はリーダーシップも必要とする>


だが、こういう議論を白紙の状態からはじめても、限られた期間内に決定に至るのは、現実には難しい。。

実は、バージニア代表団は、それを見越してバージニア案を持って参加していた。
彼らは、それを、前もって州議会で造り上げ、持ち込み提案した。

これを吟味することでもって、議論は建設的に進んだ。
それをみて他の州代表からも一案が出されたが、結局、バージニア案をベースにして連邦政府機構は決められていった。

聖句自由吟味者たちはリーダーシップを発揮したのだ。

民主制が機能するための必要条件は、人民の政治見識が一定水準に達していることである。
だが同時に、優れたリーダーシップもまた、この制度が機能するために不可欠だ。

憲法制定会議におけるバージニア州代表団は、それを示してくれている。





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臨時版:<お知らせ>

2015年06月01日 | 米国への無知を正す






・鹿嶋春平太『自己神欲が諸悪を産む』をKindle版で購入して下さった読者の皆様へのお知らせです。

・このほど、コンテンツを更新しました。

・更新は無料で、下記の手順で速やかに出来ますので、よろしくお願いします。

・更新は大幅で、改訂版とも言うべきものになっています。更新をお勧めいたします。





・なお、複数の端末をお持ちの場合は、読者が端末の一つずつにつき更新する必要があるようです。

・著者が「全ての購入者の端末を更新して下さい」とアマゾン・カスタマーサービスに伝えて、

 全読者の全端末で、一斉に更新してもらえたら便利ですけどね。


・読者メモやハイライトなどが、端末毎に残されていて、更新すると消えるので、

 各読者が、端末の一つずつにつき、納得して行えるために、一斉更新はしないそうです。


・お手数ですが、よろしくお願いします。

・更新方法は簡単で、下記のごとくです。






<更新方法>


1.端末でkindleを開く。

2.「ライブラリー」を開き、「すべてのアイテム」を青色反転にする。

3.リストの中に『自己神欲が諸悪を産む』がある。

4.その上で右クリックをすると、「メニュー」がでる。

5.「端末から削除」をクリック ⇒ (コンテンツは消えるが、表紙は残っている)

6.残った表紙をダブルクリックすると、自動的に最新コンテンツがダウンロードされる。

  (あるいは、「表紙を右クリック ⇒ ダウンロードを左クリック」でもいい)



~なお、うまくいかないときには、肥田(鹿嶋)にメッセージしてください。

カスタマーサービスがくれる電話にて、口頭で更新を依頼する方法をお知らせします。

(以上です。よろしくお願いします)





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