うわさのあの人。見かけたことは何度もあって、でも人見知りの私には声をかけることはできませんでた・・・。が、ついに本日、連絡先交換!!!
この辺りでは有名な名物おじさん。子供たち&ママたちにモッテモテな理由は海の幸をくれるから(笑)。
頭は白髪交じりの角刈りで、前歯が二本かけているせいか、いつもゆるっと笑っている口元。いい感じでしわくちゃに日焼けした顔につぶらな瞳のおじさんは、御歳70歳。
海岸で子供たちと遊んでいたら、いつの間にかおじさんの周りにむらがる子供たち。遠目に眺めていたら何やら砂浜を手で掘っている。・・・と、取りだしたのは蟹。おじさんの手にかかると魔法のようにポンポンと、次々と蟹が現れるのです。手品みたい。わー、私も知りたーい、と駆け寄る母。
なんでい、そんなことも知らんのとおじさんは半ば呆れ気味にも、実は都会っこな母たちにも捜し方を教えてくれました。
まず、細長い棒(茎のようなのがベスト)を見つける。砂浜に穴があいてたら、そこが蟹の穴の入口。穴の大きさでどのくらいの蟹かが分かる。その穴に棒を静かに突っ込むとたいていは斜めに入るので、入った長さ分離れた箇所の穴を掘ると蟹が発見できるというわけ。30cm~50cmくらい、結構掘ります。いとも簡単におじさんは百発百中でホイホイと蟹を取りだすけれど、初めての私にはやっぱり難しかったー。
「ホラ、見てて。こうやって乾いた白い砂かけても見つかるよー」
と適当に掘った穴に白い砂をかけ、砂が白いまま残ってる箇所をどんどん掘り下げて行く。お・も・し・ろ・い!まさに砂浜ワンダーランド。
それからおじさんは、「ホントになんも知らないんだなあ」と呆れながらも、濡れずにお手軽に取れる海の幸をいっぱい教えてくれました。
今日だったら10時頃、明日だったら11時頃にあの川辺に行けば水たまりができてるから、そこに鮎がいるよー。
えー?鮎なんていそうな川じゃないんです。そんなにキレイじゃない。蟹も季節によっては蟹汁にできる大きいのが取れるそう。うまいよー、とおじさん。
「ママさん、鰻は食べるかい?」
鰻の産卵期になると、本当になんてことのないコンクリートの壁のある、海に注ぐあそこの川で天然の鰻がとれるそう。
「天然だからね、うまいんだ、これが。9月の満月だよ。満月じゃないととれないんだ。今のママさんたちは自分で下せないからオレが下してからあげるんだよ」
「伊勢海老は好きかい?伊勢海老は、大潮のとき、あの辺(指さす)歩いてると急に深くなるところがあって、そうだなー、1m50cmくらいかな。そこに50匹くらいかたまっているよ。タコもいっぱいだね」
「ホラ、あの岩場に緑色の箇所見えるでしょ、あれが青海苔。三月にとるとうま味が増してるからね」
「ワカメは風が強い日の翌日打ち上げられてるのを拾う。ここのは味が違うよ」
確かに。おじさんからもらったというワカメを他のママ経由でもらったことがあるのだけれど、絶品でした。
おじさんの話しはつきることなく続く。魚屋さんには絶対に並ばないけれど、聞いたこともないような名前の絶品の魚の話しが次々と。食べ方から茹で方のコツまで、さばけなかったらさばいてやるよ、と。一緒にいたママと興奮して聞いてしましました。鎌倉の海で、しかも家から歩いて10分のところで、こんなに海の幸がお手軽に取れるとは驚き!
「海だけじゃないよ~。いまの季節だとあの公園の山で自然薯が掘れるから、行こう」
え。自然薯?確かに鎌倉には里山が多いけれど、こんな人通りの多い、公園でとれると思ってなかった!
「春は木イチゴだ。けど、木イチゴは人気だからすぐなくなるよ」
とっては、ママたちにあげているというおじさん。あれとってー、これとってー、とリクエストも尽きないそう。ウニ、タコ、下手したら密漁の範囲内なのでおまわりさんに呼ばれたというウワサもあるけれど、めげない。本当に楽しそうに子供たちに教えてくれるのです。まさに海の学校!
「じゃあねえ、とれるとき教えてあげるから連絡先ここに登録してくれる?来るときは必ず子供も連れてくんだよ~」
とスマートに似つかわしくない携帯を取り出すおじさん(笑)。入ってる入ってる、30歳も40歳も年下のママたちの連絡先(笑)。あら、あの人もこの人も、と知り合いも既に結構登録されてて笑ったー。
いままでもここの海が大好きだったけれど、ただきれいな風景として、そして子供たちの楽しい砂遊び場として、だったような気がする。おじさんの話しを聞いていたら、その同じ海が、急に生命あふれるキラキラした命のワンダーランドとして目に飛び込んできました。ああ、だからこそ・・・とワクワクと同時に切ない思いも胸にこみあげる。海を汚しちゃいけないよね。合成洗剤で、放射能で・・・。
気づけば夕方で、空は茜色に染まり、海には紅色の光の道筋が。まあるい夕陽がつり竿を持ったおじさんと寄り添う子供たちのシルエットを浮かび上がらせ、美しすぎて涙が出そうになりました。いいなあ、なんか、豊かだなあ、って。
「じゃ、私はこれから夜の部にでかけますんで」
とこわれそうな自転車に乗って消えて行ったおじさん。おじさん、いや、師匠、これからもどうぞよろしくお願いします。
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子どもたちには(もちろん大人にとっても)最高の先生ね~!
子供たちにとってあこがれの大人だね!
ホントに最高の先生です。地元に生きているという生き様が素敵です。こういう人、どんどん減ってきてますよねー。
≫MAUI ONION
マンガに出てきそうなおじちゃんなんだけどね(^_^;
魔法のように次々と魚なんかがいる場所を教えてくれるんだから、憧れちゃいます。母も。