“母ちゃんが図書館で予約してた本がやっと来たよ。半年以上待たされたよ”
と父から手渡されたのがお宿「吉水」の女将の書いた『本当に大切にしたい日本の暮らし』
“お前をここに修行に入れようかって以前話してたんだよ”
って、前に話したのに覚えてないのかなー?吉水、とてもお世話になりました。懐かしい。
チビが生まれる前だから、さかのぼること7,8年前!?当時田舎で宿をやりたいと夢見ていた私たちは銀座吉水の門をたたいたのです。・・・正確に言えば殿が。私はシャイでそんなことできませーん。ぐずぐずしてる私と対照的な殿は目標に向かって突き進むタイプ。かなり暴走気味ではあるものの、私たちはこれでバランスを取ってきた・・・のかな
熱烈な古民家LOVEの殿(なんてったってハンドルネームがKo Minka)だったので、私たちにいいかもしれないと長野のほうまで古民家を紹介していただいて連れて行っていただいたりしたこともありました。とりあえず、吉水の厨房に修行に来ない?という話もありました。
でも、どれも躊躇してしまったのです。
女将とその息子さんとは色んな話をさせていただきましたが、そのとき強烈に印象に残っていたのが
「宿をするということが日常生活の延長線上にあること」
ということでした。日々の暮らしを丁寧につむぐ、まずはそこから、と。
テレビなし、電子レンジなし、本物の厳選された調味料しか使わないといったような暮らし方は私も実践していたけれど、なにせ根が大雑把。野菜の切り方ひとつこだわる吉水の厨房に入ったら色々と呆れられるんだろうなあ、とゆるゆるな私は吉水のストイックさに気後れしてしまったのです。
宿という夢が遠のいたのにはほかにも色々と理由はあるけれど、でもこのとき女将と息子さんに言われたことも強く影響していて。これから子供も産むだろうし、まずは子育て。日常生活を丁寧に過ごして、たくさん人をおうちに呼んで、その延長線上に宿がありますよ、だから今は焦らなくていいんじゃないですか、って。
当時の私はなんかそれにいたく納得してしまった。でも、目標に突き進むタイプの殿にはただウダウダしてるようにしか写らないだろうから本当の気持ちは言えなかった。そして、今も日常を丁寧に紡いでるとは言いがたいので、これ書いてても殿に呆れられるんじゃないかと内心ドキドキしてるのだけれど。
夢があるのっていい。そういう人は応援したくなる。
けれど、ないからって焦るものでも、恥じることでもない。
夢や目標を持たなきゃっていう脅迫観念みたいのが現代人にはどこかある気がする・・・のは気のせい?
宿をやりたくて、殿と古民家めぐりをしていたときこれはいけるかもと不動産会社の人を期待させてしまったことがありました。結局見送りますということを伝えたとき、はき捨てるようにその人が言ったのです。
「そういう人はね、いつまでたっても言い訳して結局は夢はかなわないんだよ。いろんな人見てきたけど、夢をかなえる人はすぐ行動に移すもんだ」
そんなようなこと。傷つきました。・・・若かったので(笑)。一理あると思う一方で、そうとも限らない、売れなかったからあなたがくやしいだけだと心の中で反発する自分もいて。その不動産会社の人自身が別に尊敬したいタイプではなかったので、気にはしないけど印象に残ったできごと。
本の中でも強調していたけれど、吉水の女将さんが一番伝えたかったことはこの不動産会社の人とは対照的でした。まずは足元。遠回りのようでも夢はそれから、って。
今の私は夢や目標を追いかけることはしなくて、今を大事に生きてればおのずと未来は見えてくるかな、とプロセスを楽しみ中。おいおい、一体いつ見えるんだ!?ってときどき焦りますが
時期と準備が整えば、あとは空から降ってくるハズ(笑)。
本を読んであらためて、何か世間に認められることをしなくたっていい、人に認知されなくったっていい、日常を丁寧に暮らしていくぞー、ってすがすがしい気分になりました。日常・・・雑な私にはそれが一番ハードルが高かったりするのだけれど。
吉水の女将さんが提案しているちょっと前の日本の暮らしをみなが実践したら、エコだなんだと騒ぎ立てなくても、自然に自然と共生する暮らしになるんだなあ。
もう一つ、今この時期にこの本が来たこと、自分の中で思っていたこととシンクロしてびっくりしたのだけれど、長くなるのでそれはまた次回。
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