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体調を整えながら田村隆一などを読んでいたが、田村隆一の年譜を見ていたら、明治の文芸科に入ったときの面接官が、吉田甲子太郎がいて「教員にもなれないけどいいか」などと聞いたそうである。いまなら、「教員になろう」みたいなことを面接官が言ってしまいそうな気がする。岸田國士が科長をしていて、そういえば田村の妻の中に「アルプスの少女ハイジ」の作詞者が……
戦争中、文芸の独立独歩的な側面は、危うい。抑圧もあるが、頼る者がないので強権にむしろ頼ってしまうのである。
軍隊では、暗号の教官に矢内原伊作がいた。彼の人生は、有名人に囲まれている。
思うに、田村隆一には、渡辺一夫とは全く違う方向性ではあるが、有名人に頼る側面がある。高村光太郎論の最後に、リチャード・エバハートの「癌細胞」なんかを引用してくるところなんか、なんかいやな感じがしたが、――いや、彼はものすごく勉強家なのであろう。