《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

初期的感想――革共同は死んだ

2015-09-14 07:24:58 | 『革共同政治局の敗北』の感想、批判
初期的感想――革共同は死んだ
山葡萄
2015年6月1日

※文中の【 】内は管理者による註

 苦渋の労作である。通読し、もう一度序章に戻り、このメモを書いています。いろいろと自分として「深めなくては」ならない問題が多々ありますが、ひとまず初期的感想を書きます。

1.革共同はもう死んだ

 歴史の屑籠に丸ごと放り込むことがプロレタリア革命の歴史を前に進めることだ。いまだに革共同を名乗ること、随伴することは犯罪である。
 本書を読み、何とも言えぬ寂寥感、淋しさと虚しさにさいなまれ続けた数日間でした。99%「そうだよな」と思っていた現実を1%の曖昧さもなく白日の下にさらけ出したのが本書です。
 しかし、その事実・現実を受け入れるのは容易ではありません。自分はなんのために生き、闘ってきたのかという虚しさ、今日の危機的状況、時代を画する安倍の攻撃のすさまじさの中で革命党が不在だという厳しい現実。「もしかしたら…」という1%の幻想を捨てきれない自分。
 しかし、私もまた「革共同は死んだ」と断言します。そう断言し、公言することが歴史に対する責任だと思います。「緒言」の通りです。

2.勝利の展望――私たちはどう戦うべきであったのか

①死に至る経過、似て非なるものになってしまった今の党の現状等、本書の叙述に違和感はありません。

②中核派の輝きはなんであったのか(序章での第一~第七)の総括は正しい。自分が生き闘ってきた中核派―革共同はまさにここにある。いまも日本における革命党のあり方、基本路線として(当時の不十分さ、深めるべき問題はあるが)正しいと思う。

③上記②の視点から①の現実の清水党を批判しているのが本書である。この限りでは全く正しい。賛成です。このテーマを余すことなく明らかにすることは本書によって初めて体系的、全体的に明らかになった。本書の地平です。

④上記のような評価が大前提ですが、「じゃあ どうすればよかった」=勝利の展望はあったのか、という大きな問題は残ります。
・率直に言って清水党の根本的問題は権力との垂直的対峙からの逃亡、弾圧への恐怖にあります。ここが全ての動機になっています。
・輝ける中核派の闘い方で進む、というのが基本なのでしょう。しかしその道は前人未到であり、相当な困難を党にも党員個々にも強制します
・この困難さからの逃亡、困難さの清算、革命への道の改ざん・合理化が清水党でしょう。この点の断罪は正しい。
しかし、断罪したからと言って「困難さ」はなくならない。この困難さをどう見据え、どう戦っていくのか、勝利の展望をどう提示するのかは、依然として課題としてそびえたっているのではないでしょうか
・あの厳しさ(対Y戦【対カクマル戦】、フェーズⅡ【先制的内戦戦略の第Ⅱ段階】への移行)の直接的延長にR【革命】の勝利はあったのでしょうか。この厳しさと対峙し、厳しさから逃げず、勝利の展望と現実を提示する責任が党政治局にはあったのではないでしょうか?
・と同時に、私はどう考えても被害者ではない。確かに政治局員ではなかったが指導部の一員であった。加害者として総括しなくてはならない。
・これは当時の問題であるだけでなく、未解決の優れて今日的問題です。
・人は「正しい」というだけでは決起できない。正確にいうと決起を持続することは難しい。そこには勝利の展望と確信という美酒が不可欠だと、この歳になると思うのです。

3.党内民主主義の在り方―その保障としての党大会

①革命党が本来的に陥りやすい欠陥(意識的行為なしには自然発生的には必ずそうなる)としての官僚主義、権威主義、閉鎖性、という本書の指摘はなるほどな、と教えられました。
   
②また、その防止策としての党大会の開催という指摘も当を得てます。

③総じていえば「ものが言える人間集団としての組織」が必要です。

④「意見は会議で」「意見を持って会議に参加する」とは若い頃から叩き込まれた生活習慣のようになっていますし、現在の職場でも「会議の重要性」、「意見を言う権利」と声を大にして職員に呼びかけています。

⑤しかし、いくら百万遍そうTOPが言っても現実にはそれだけでは打開されません。

⑥意見(意見にまで成熟しない、不満や疑問も含めて)を掬い上げていく指導部の努力、そうした機会の提供(個別的面談等)の一定の積み重ねの上に充実した会議は成立するのだと思います。同志的愛情を基礎とする血の通った会議を組織するということでしょうか。

4.結柴、新城両氏の闘いについて

①不明にも両氏の闘いの困難さを直視できてこなかった。本書で初めて直視することとなった。

②機会を作って、直接両氏にお詫びしたい。

③頑張ってほしい‼

 ひとまず以上とします。

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