《試練》――現在史研究のために

日本の新左翼運動をどう総括するのか、今後の方向をどう定めるのか

貴重な記録が満載だが、欠点も

2015-11-26 22:13:36 | 書評:『革共同政治局の敗北』
貴重な記録が満載だが、欠点も /ひまわり博士(編集者・ライター) /2015年6月18日 /ブログ:「ひまわり博士のウンチク 本と雑誌」から転載/ 著者の1人、水谷保孝さんから案内があり、出版を知った。水谷さんは現在、「図書新聞」の企画部部長で、書評などの掲載を無理矢理お願いしてずいぶんお世話になっている。/元革共同中核派の中心的な幹部で政治局員であった水谷さんは、2006年の党内クーデターおよびそれに係るリンチ事件を機に離党している。共著者の岸宏一さんも同様である。/「’70年安保」改訂反対闘争の敗北から、全共闘運動が挫折した最大の原因は、大衆からの支持が得られないどころか反発さえ買ったところにある。/広範な労働者など無産階級の現実を客観的に見ることなく、都合よく解釈し、党員からの反対意見を一切聞き入れなかった。それがすべてであると思い込み、セクト主義に陥った末、正義を勘違いしていた。現在の革共同中核派も、その路線をほぼ継続していると見ていい。言ってみれば思考回路は安倍政権と何ら変わらない。   . . . 本文を読む

ある左翼革命家の敗北と新たなる旅立ち(他1本)

2015-11-26 21:54:56 | 書評:『革共同政治局の敗北』
ある左翼革命家の敗北と新たなる旅立ち(他1本) /赤松 正雄(元公明党衆院議員) /2015年6月17日 ブログ:赤松正雄の「忙中本あり」から転載 / 先日、高校時代の友が出版した本の広告を朝日新聞の一面記事下で発見した。水谷保孝 岸宏一共著『革共同政治局の敗北』なるものだ。副題は、「あるいは中核派の崩壊」とある。革命的共産主義者同盟全国委員会、略して革共同と云われても私には良く分からない。中核派と云われて、ああ、あの過激な新左翼学生運動の集団か、というぐらいしか知識がない。水谷保孝(敬称は略す)は兵庫県立長田高校で同期だった。卒業後、彼は早稲田大学へ。同大学時代に、学費・学館ストライキで無期停学処分になったまま中退し、のちに佐世保エンタプライズ闘争で米軍基地に突入して逮捕されるなど、学生運動でならした男だ。こう書くと読まれる方は、彼がかなりの闘争的猛者だと思われるに違いない。二十歳のころから今に至るまで一貫してこうした運動に関わってきているのだから、それは当然だろう。しかし、その印象たるや、ひげを蓄えているところを除けば、高校時代と変わらぬ優しそうな雰囲気であった . . . 本文を読む

連合赤軍によるリンチ殺人事件を思い浮かべた

2015-11-06 21:32:03 | 書評:『革共同政治局の敗北』
連合赤軍によるリンチ殺人事件を思い浮かべた /ブログ:遺されたもの(2015年5月27日) /「革共同政治局の敗北 あるいは中核派の崩壊」(水谷保孝 岸宏一) /Amazonで予約したにもかかわらず、発売日には「ないから発送できません」(意訳)メールが届き、ネット情報では増刷は来月だとのことでこりゃしばらく待たされるな~と思っていたところにいきなり届いたので読んでみました。/ざっと読んで感じたのが文調への違和感。これはおそらく事実を政治を通して記述しているせいじゃないかと思われました。つまり、この本が本来読者として対象としているのは中核派に関わっている、いた人、あるいは他の政治組織に関わっている、いた人なんだろうなあと。そういう人々は、この本の文章に対して、程度の多少はあれ共感や反感といった感情をもって身近に感じられるのかなあ、と。/そうはいっても、記述されている事実はどれも衝撃的でした。 . . . 本文を読む

「何をどう変えて、新しい社会を作るのか」という問いに答えなければならない

2015-10-28 19:40:04 | 書評:『革共同政治局の敗北』
「何をどう変えて、新しい社会を作るのか」という問いに答えなければならない /山田 宏明 (フリーライター) /【水谷保孝・岸宏一『革共同政治局の敗北 一九七五~二〇一四 あるいは中核派の崩壊』(白順社、二〇一五年)】/2015年7月3日/『流砂』2015年第9号 【書評】から転載 /革共同中核派の四五年の歴史とその帰結 /かつて「中核派」という言葉が「魔法の響き」だった時代があった。一九六〇年代後半の新左翼運動・全共闘運動を体験した人なら、何を言っているのか、ピンと来る話だと思う。ベトナム反戦を旗印に、数十万の学生、青年労働者、市民が首都東京で、集会やデモを展開、当時の佐藤首相の南ベトナム訪問や訪米に反対して、機動隊と激しくぶつかった。 . . . 本文を読む

政治学に関する必須文献(全7本)

2015-09-14 08:59:52 | 書評:『革共同政治局の敗北』
政治学に関する必須文献(他6本) /燻製クラウン/mixi「日記」から転載/2015年5月19日~6月12日 /《管理者コメント》『革共同政治局の敗北』をめぐってmixiでもいろいろと書き込まれている。その中でも燻製クラウン氏がmixi「日記」で同書について何回にもわたってかなり突っ込んで論じているので、そこから7本を転載、紹介する。元の見出しは同書の書名が充てられているが、転載にあたっては、勝手ながら管理者が新たにつけた。【 】内は管理者による註。一部の誤記は直した。/……………………… /政治学に関する必須文献 ●2015年5月19日 『革共同政治局の敗北』/ 『革共同政治局の敗北』を帰宅途中の電車内で開いてみた。初見の印象は「政治学に関する必須文献」ということだろうなというものだ。全国委員会の決定、指揮系統がつまびらかにされて、その上で論が展開されている。こういうものは見たことが無い。 部外者である私には三・一四2(=アンデス)以降の複雑な動きは分からないので、大まかに冒頭に目を通して、2部をチラリと見た。 長年の疑問がいくつか解けている。 . . . 本文を読む